Monash大のC.M.Reid氏

 高齢の高血圧患者に対する薬物療法で、ACE阻害薬を用いる場合と利尿薬を用いる場合とでは長期生存にどちらが有利かは言えないとする研究結果が報告された。オーストラリアのANBP2コホート研究によるもので、Monash大のC.M.Reid氏(写真)らが6月19日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。

 Reid氏らは、65歳から84歳までの高血圧患者6083人を、ACE阻害薬を基本とした治療群(3044人)と利尿薬を基本とした治療群(3039人)に無作為に割り付けたコホート研究を実施し、長期生存の比較検討に取り組んできた。

 これまでにANBP1コホート研究(フォロー期間の中央値4.1年)を終了。この時点で405人の死亡を確認したが、ACE阻害薬をベースとした治療群で195人(1000人・年当たり15.7人)、利尿薬をベースとした治療群で210人(1000人・年当たり15.1人)となり、両者に違いを認めなかった(ハザード比0.90、95%信頼区間0.75-1.09、p=0.27)。

 ANBP2コホート研究は、さらに長期にわたる評価を加えるためANBP1開始時点から10年後の成績をみたもの。

 その結果、2006年12月30日時点で、積算して5万3260人・年のフォローアップ(中央値9.3年)に対し、1352人の死亡が確認され、全体の死亡率は1000人・年当たり25.3人となった。

 特徴的なのは男性の死亡率で、女性の1000人・年当たり20.9人に対し30.5人と有意に多かった(ハザード比1.56、95%信頼区間1.38-1.76、p<0.001)。

 注目したグループ間の比較だが、試験開始時の年齢、性別、糖尿病の有無の補正後では、ACE阻害薬治療群のハザード比は利尿薬治療群に対して0.96 (0.86-1.07、p=0.47)となり、両者に有意差を認めなかった。

 これらの結果から演者らは、「高齢の高血圧患者では血圧コントロールにACE阻害薬を用いる場合と利尿薬を用いる場合とで、長期生存にどちらかが有利だとは言えなかった」と結論した。今回の結果は、これまでの大規模臨床試験の結果とは異なるもので、両者の違いが何に由来するものなのか、さらなる検討が求められる。