英国Manchester大のA.S. Greenstein氏

 インスリン抵抗性肥満患者では、血管周囲脂肪組織による細動脈の抗収縮効果が低下していることが分かった。健常人と肥満患者らを対象に調査した結果、明らかになったもので、英国Manchester大のA.S. Greenstein氏(写真)らが6月18日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。

 健康人では、血管周囲の脂肪組織が細動脈の抗収縮効果を発揮することが知られている。演者らは、肥満患者ではこの抗収縮効果が減退しているのではないかと考え、今回の調査を行った。

 対象は、健常人9人とインスリン抵抗性を持つが2型糖尿病ではない患者8人。

 臀部脂肪の生検を行い、筋運動記録針を用いて抵抗動脈を調べた。遠位部分の動脈からは外膜周囲組織を除去する一方で、近位部分では血管周囲脂肪組織をそのままに残した。動脈生存能は60mmolカリウムで確保し、両部位のノルアドレナリンに対する反応性を調べた。なお、細動脈の収縮性は、カリウムが豊富な溶液で誘発される収縮をカウントした。合わせて内皮機能も測定した。

 測定の結果、肥満患者は健常人に対して体格指数(BMI、34.4±1.3対25.6±1.3、p<0.001)、腰囲(111±2.8対91.1±3.5、p<0.001)、グルコース値(6.0±0.2対4.8±0.1、p<0.001)の数値が、それぞれ有意に大きかった。一方、HOMAS値(41±5.9対124±18.6、p<0.001)とHDL(1.1±0.1対1.5±0.1、p=0.025)は有意に低く、LDH、中性脂肪および収縮期血圧や拡張期血圧については有意差はなかった。

 解析の結果、血管内皮の抗収縮機能は、健常人に対して肥満患者で有意に低下していることが確認できた。

 演者らは「インスリン抵抗性の肥満患者では、血管内皮機能障害に加えて、血管周囲脂肪組織の抗収縮能が失われていた」と結論。血管周囲脂肪組織が病態に深くかかわっていることを示すことができたと指摘した。