Mostoles病院のL.Vigil氏

 腎機能マーカーとして注目されているシスタチンCが、高血圧患者では心血管リスク評価に応用できることが分かった。本態性高血圧患者を対象とした調査で明らかになったもので、スペインのMostoles病院のL.Vigil氏(写真)らが6月18日、ベルリンで開かれているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。

 これまで糸球体ろ過機能のマーカーである血清シスタチンCは、心血管疾患(CVD)と関連があることが報告されている。Vigil氏らは、高血圧患者においてシスタチンCがメタボリックシンドローム(MS)を始めとする心血管危険因子(CVRF)と関連があると仮定し、今回の調査に臨んだ。

 対象は、Mostoles病院の高血圧科を受診した本態性高血圧患者619人(男性53.1%、平均年齢58.6±13.6歳)。すべて患者でシスタチンC濃度を比濁法により測定した。メタボリックシンドロームはATP-III基準に基づいて定義した。糸球体ろ過量(GFR)はMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)研究の計算式により算出した。

 MSは45.4%の患者にみられ、男性の方が多かった(51.1%)。血清シスタチンC濃度は、MS患者で非MS患者よりも有意に高かった(0.94±0.27mg/l対0.8±0.24mg/l、p=0.001)。性差による相違はなかった(男性:0.89±0.25mg/l、女性:0.92±0.27mg/l)。

 年齢、性およびMDRD推算GFR補正後にPearson偏相関分析した結果では、シスタチンC濃度は体格指数(BMI) (r:0.138、p=0.045)、腹囲(r:0.171、p=0.013)、微量アルブミン尿(r:0.275、p<0.001)、CRP(r:0.191、p=0.005)、および血清尿酸(r:2.086、p<0.0001)と正の相関があった。また、血清シスタチンC濃度は年齢と正の相関があり(r:0.409、p<0.001)、MDRDとは負の相関があった(r:-0.638、p<0.0001)。

 多変数解析によれば、MDRD(p<0.0001)、年齢(p<0.0001)、微量アルブミン尿(p<0.0001)、血清尿酸(p<0.0001)、BMI(p<0.047)、およびCRP(p<0.008)が、それぞれ独立したシスタチンC濃度の関連因子だった。

 演者らは「今回対象とした高血圧患者では、MSが血清シスタチンC濃度の増加と関連していた。他のCVRFもまた血清シスタチンC上昇と相関があった」とし、血清シスタチンC測定が心血管リスク評価の有用な方法であると結論した。