東北大大学院医学系研究科の目時弘仁氏

 血圧が高めの女性患者から妊娠について相談を受けたら、出産時期を夏にするよう提案するのも一手−−。妊娠初期から後期および出産までの季節による血圧変動を解析した結果、明らかになったもの。調査に当たった東北大大学院医学系研究科の目時弘仁氏(写真)らが6月17日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。

 調査では、同意を得て、妊娠20週以内で、高血圧の既往のない122人の妊婦を登録した。12人は追跡が不可能となり、9人は妊娠高血圧を発症するなどしたため、最終的に解析対象は101人となった。平均年齢は30.7±4.5歳、平均BMIは22.0±3.4だった。家庭血圧を測定し、妊娠期と測定日の気象データで調整し解析した。

 平均血圧がもっとも低くなったのは第2トリメスター(20週目)で99.7±7.2/59.2±6.5mmHgだった。最終トリメスターに血圧は上昇し、40週目に108.7±13.8/74.0±15.3mmHgとなった。一方、トリメスター期に関連した血圧の変動を排除した場合には、最低気温(野外)が10℃上昇すると、収縮期血圧が2.5mmHg、拡張期血圧が2.8mmHg低下することがわかった。

 もっとも血圧の変動幅が大きかったのは1月に出産した女性で、収縮期血圧が13.5mmHg、拡張期血圧が13.2mmHg上昇していた(97.1mmHg/56.1mmHgが110.6mmHg/69.3mmHgへ)。血圧が上昇する出産月が、血圧が上昇しやすい冬場に重なったためと考えられる。

 逆にもっとも血圧の変動幅が小さかったのは7月に出産した女性で、収縮期血圧は3.6mmHg、拡張期血圧は2.7mmHgの上昇にとどまった(102.4mmHg/61.1mmHgが106.1mmHg/64.3mmHgへ)。

 この結果について目時氏は、「冬に出産を迎える妊婦に関して、夏の血圧の測定値から『それほど高くないから大丈夫』と考えると過小評価になるので注意が必要だ。私は血圧が高めの女性から相談を受けたら、血圧が冬ほど上がらない夏場に出産時期がくるようにしてはどうかと、アドバイスしている」と話している。