フィンランド国立衛生研究所のT. Niiranen氏

 フィンランド国立衛生研究所とトゥルク大学病院は、高血圧患者の予後予測における家庭血圧の意義を調べる目的で2001年から7年間の追跡調査を行った。今回、その予備解析結果がまとまり、同研究所人口調査研究室のT. Niiranen氏(写真)が6月17日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。家庭血圧の有用性を示すコミュニティー・ベースの大規模スタディーは、日本の「大迫研究」、イタリアのPAMELA(Pressioni Arteriose Monitorate E Loro Associazioni)研究に続くものだ。

 追跡調査では、フィンランド内の複数地域から45〜74歳のフィンランド成人2120人を試験の対象として抽出した。外来血圧(水銀血圧計を用いて測定した2回の測定値の平均)と家庭血圧(有効な家庭用血圧計を用いて1週間にわたって測定した14回の繰り返し測定値の平均)を測定した。

 対象者を約7年間追跡調査し、心血管系疾患による死亡、非心血管系疾患による死亡の情報を、死亡診断書から得た。死亡率に対する血圧の予後的意義は、年齢および性別で調整したCox比例ハザード回帰モデルにより決定した。

 対象者の平均年齢は56.3歳(男性46.3%)、平均BMIは27.4、高血圧の治療を受けている人の割合は22.4%だった。ベースラインの外来血圧は137.4mmHg/83.7mmHg、家庭血圧129.7mmHg/80.3mmHgだった。糖尿病の有病率は6.3%だった。

 平均追跡期間は7.2年で、122例の死亡が確認された。内訳は、心血管系34例、非心血管系88例だった。

 統計的な調整前には、収縮期家庭血圧(最初の2回のみ、14回の平均値)、収縮期外来血圧と、全死亡および心血管系死亡との間に相関が見られた(p<0.05)。調整後、全死亡と相関性があったのは収縮期の家庭血圧(14回の平均値)のみだった。

 全死亡に関して、正常血圧と比較した臨床的高血圧のハザード比は家庭血圧が1.98(1.38-2.85)、外来血圧が1.53(1.07-2.19)だった。

 T. Niiranen氏は「まだ予備解析の段階だが、家庭血圧は死亡率の予測判断材料として外来血圧より強力であった。診療で、家庭血圧測を測定することの有用性が示されたと思う。疾病罹患率との関連については現在解析中であり、近くデータを発表できるだろう」と述べた。