名古屋市大心臓・腎高血圧内科学の福田道雄氏

 夜間降圧減弱(non-dipper)は心血管系予後の増悪因子だが、オルメサルタン8週間服用によりnon-dipperの夜間降圧減弱は改善し正常化(dipper)に向かうという成績を、名古屋市大心臓・腎高血圧内科学の福田道雄氏(写真)らが6月17日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のポスターセッションで報告した。これは昼間のNa利尿促進が機序のようである。

 本検討の対象は、CKD患者20例。男性13例、女性7例で平均年齢は45±18歳だった。CKDは米国K/DOQIガイドラインの定義を用いた。糖尿病性腎症と降圧薬服用例は除外されている。

 福田氏らはこれら20例にオルメサルタン10〜40mg/日を8週間服用させ、服用前後の24時間自由行動下血圧(ABP)と腎機能の変化を比較した。腎機能について検討したのは、同氏らが別の研究で報告しているように、腎機能低下がnon-dipperの一因と考えられるためである。

 まず腎機能だが、オルメサルタン8週間服用により、アルブミン尿は有意に低下した。一方、24時間尿中Na排泄量は服用前後で有意な変化を認めなかった。平均血圧は服用後、有意に低下していた(p<0.0005)。

 血圧日内変動に関しては「オルメサルタン服用によりnon-dipperほど夜間血圧が低下する」という関係が認められた。

 本検討では夜間降圧度の指標として「夜間血圧/昼間血圧比」を、「6:00〜21:00」の平均血圧に対する「21:00〜翌6:00」平均血圧値の比と定義した(以降「比」と表記)。この「比」は夜間降圧度が少ないほど値が大きくなる。オルメサルタン服用前の「比」と服用後の「比」の減少率(夜間降圧増強度)をプロットしたところ、両者は有意かつ強力な正の相関を示した(r=0.77,p<0.0001)。

 また夜間降圧開始までの時間も、「昼間」血圧の90%以下まで夜間血圧が低下する時間を比較したところ、およそ5時間から3時間へ短縮されていた(p=0.0004)。

 オルメサルタンによるnon-dipper例の夜間降圧正常化の機序を探ると、「昼間」のNa利尿促進が示唆された。先述のとおり、オルメサルタンは24時間Na利尿には有意な影響を与えていなかったが、「昼間」と「夜間」に分けて検討すると「昼間」の尿中Na排泄量はオルメサルタン服用によりおよそ1.2倍、有意に増加し、夜間のNa排泄が減少していた。

 福田氏らは「オルメサルタンは昼間のNa排泄促進を介して、昼間・夜間のNa排泄のバランスを改善することでnon-dipperを正常化している可能性がある」と結論し、オルメサルタンはレニン・アンジオテンシン系に対する強力な抑制に加えて、血圧日内変動リズムの正常化という独立した固有の作用を介して心腎負荷の軽減に大きく寄与するのではないかと考察していた。