Paris Descartes大のJ. Menard氏

 同じ疾患の診療ガイドラインが複数存在し、それぞれのガイドライン間で違いがあるのは、決して珍しいことではない。Paris Descartes大のJ. Menard氏(写真)らは、欧米の主な高血圧診療ガイドラインを選び、構成や内容の比較検討を行い、ガイドライン間で違いが生まれるのはなぜなのか解析を行った。成果は6月17日、ベルリンで開催されているHYPERTNSION2008のオーラルセッションで発表した。

 比較したのは、NICE(National Institute for Health and Clinical Excellence、英国、2006)、HAS(French National Authority for Health、2005)、JNC-7(Joint National Committee、米国、2003)、ESH/ESC(The European Society of Hypertension and the European Society of Cardiology、2003)の4種類。2003年から2006年に発表されたもので、国の機関が作成したものと学会が作成したものをピックアップし、ガイドラインの構成や文献レビューの方法などに焦点を置き比較検討した。

 その結果、血圧の定義と測定、生活様式への介入、心血管リスクの評価、および薬剤療法などの一般的な項目については、ガイドラインの構成はほとんど同じだった。しかし、内容的には、全体を通してほとんどすべての項目に、決して小さくはない相違がみられた。

 たとえば高血圧の定義は一致していたが、病状の階層化については一致していなかった。血圧自己測定の信頼性、心血管リスクの評価と利用、第一選択薬として挙げられた降圧薬もさまざまであった。

 これらの違いは、主に論理的根拠に依存していた。つまり、根拠として挙がっている参照文献に大きな相違があった。4種類のガイドライン合計で文献数は1402報だったが、そのうち、すべてに共通していたのは47報(43報は無作為コントロール試験、4報はメタ解析)のみだった。

 演者らは、高血圧診療ガイドライン間の相違は、根拠とする文献の選び方に依存していると結論。ガイドラインの相違点をなくしていくためには、参考文献の選択方法を統一するなどの対策が必要などと考察した。