Clinico San Carlo病院のN.Martell-Claros氏

 欧州では昨年、高血圧治療の新しいガイドラインESH-ESCガイドライン)が発表された。その影響は大きく、医療現場には戸惑いが残っているようだ。スペインのClinico San Carlo病院のN.Martell-Claros氏(写真)らは、「高リスク患者」の割合が新ガイドラインの適応前後で大きく変化することを700人規模の調査で明らかにし、6月16日、HYPERTENSION2008のポスターセッションで発表した。

 対象としたのは、最近3カ月間にClinico San Carlo病院を受診した高血圧患者709人(高血圧診療科を受診した患者すべて)。患者の平均BMIは29.9±5.2(適正体重16%、過体重39.9%、肥満44.4%)、ウエスト周囲は98.2±12cm(女性93.6cm、男性102.3cm)、メタボリックシンドロームの有病率は58.8%だった。

 これらの患者が心血管疾患を発症するリスクを2003年版、2007年版のガイドラインの基準に従って判定したところ、低リスクは2003年版では24.0%に対して2007年版では14.7%、中程度リスクは26.2%に対して10.6%、高リスクは36.5%に対して61.4%、超高リスク12.4%に対しては12.8%だった。

 新ガイドライン下では、低・中程度リスクの患者が減り、高リスク患者が約25%増加した。「増加」の主な要因は、メタボリックシンドロームのリスクの大きさを旧ガイドラインに比べてより重視していることにあるようだ。Martell-Claros氏は「積極的に治療すべき患者がいきなり増えることになる。将来起こる可能性が高いイベントが抑制できれば結果的にメリットが大きいとは思う。しかし患者負担が増すことも、われわれは同時に考えなければいけない」と話している。