ロンドンLambeth&SouthWark地域の医療を統括する機関(PCTs)所属のHelen Williams氏

 薬局降圧薬を「処方」したら降圧成功率がアップした−−。英国で試みられている「薬剤師主導の高血圧治療」の効果を確認するためのスタディーで明らかになったもので、ロンドンLambeth&SouthWark地域の医療を統括する機関(PCTs)所属のHelen Williams氏(Kings College Hospital薬剤師、写真)は6月16日、HYPERTENSION2008のポスターセッションでその成果を発表した。

 英国では総合診療にQOF(Quality of Outcomes Framework)というプログラムが導入されている。国が設定した治療目標を達成できたら、クリニックの診療報酬がアップするというもので、米国の「P4P(ペイ・フォー・パフォーマンス)」プログラムと同様のコンセプトといえる。高血圧治療に関して設定された主要な目標は、クリニックを受診した高血圧患者の70%以上を、150mmHg/90mmHg以下に治療すること(達成すれば「BP4」というグレードになる)などだ。
 
 とはいえ、治療成績が上がらない患者を多く抱えて頭を悩ますクリニックも少なくない。そのようなクリニックの患者を対象に、2007年9月から「薬剤師主導の高血圧治療(pharmacist ?led hypertension service)」がスタートした。
 
 Williams氏らのスタディーの目標は、(1)薬剤師主導の高血圧治療開始から6カ月間で、QOFの設定目標達成率がどれくらい改善されるかを知ること、(2)薬剤師の治療介入の内容を知ること−−の2つ。医師から薬剤師に、患者の診療データ(血圧、心疾患のリスクに関するものなど)が渡されてスタディーがスタートした。

 ちなみに英国では2004年以降、トレーニングを受けた薬剤師には一定の処方権が認められている。高血圧治療に関しては、ACE阻害薬、ARB、αブロッカー、βブロッカー、利尿薬、スタチンなど、ほとんどの主要な薬剤の処方が可能だ。

 複数のクリニックから降圧が困難とされた患者96人を試験に登録して、6カ月間の変化を観察した。その結果、登録時点で150mmHg/90mmHgを達成していた患者は96人中25人(26%)だったが、6カ月後には55人(57%)にアップした。

 薬剤師は、禁煙、減量、減塩など、アルコールを控えることなどの生活習慣のアドバイスとともに、薬の処方も積極的に行っていた。6カ月間で延べ101回の処方をしており、もっとも多かったのはACE阻害薬の新規処方(16回)だった。

 このスタディーで対象としたのは血圧が下がりにくかった患者ばかり。従って、クリニックの患者全体にこの成果を還元すると、「患者の70%以上が150mmHg/90mmHg以下」の目標達成が目前に迫る成果になるという。この結果についてWilliam氏は「薬剤師主導の高血圧治療の効果がしっかり示された」と成果を誇っていた。