九州大大学院医学研究院環境医学助教の有馬久富氏

 九州大大学院医学研究院環境医学助教の有馬久富氏(写真)は6月16日、HYPERTENSION2008脳卒中のサブタイプごとの発症リスクと血圧との関係について発表した。40歳以上の住人を32年間にわたって追跡調査した「久山町スタディー」の解析結果の一部だ。

 試験の対象は40歳以上の久山町住人で、脳卒中の既往がなく、降圧治療を受けたことのない1586人とした。フォローアップ期間は1961年から1993年までの32年間。欧州高血圧学会および欧州心臓学会による2007年ガイドラインの定義で区切った血圧に対応した脳卒中の発症総数と、サブタイプ(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、脳出血、くも膜下出血)の発症数をカウントした。

 期間内に発症した脳卒中の総数は297例。サブタイプ別では、ラクナ梗塞121例、アテローム血栓性脳梗塞45例、心原性脳塞栓41例、脳出血51例、くも膜下出血26例だった。

 解析の結果、グレード1高血圧(140-159/90-99mmHg)での脳卒中の総発症率は、最適血圧(120/80mmHg未満)での脳卒中の総発症率と比較して著しく高かった。サブタイプごとに解析すると、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、脳出血の発生は血圧の上昇に合わせて段階的に増加していた。一方、心原性脳塞栓およびくも膜下出血の発生はグレード3高血圧(180/110mmHg以上)で著しく増加していた。

 有馬氏は「血圧の高さは、すべての亜型の脳卒中の発症率と関連していた。サブタイプにより、血圧の高さと発症率の上昇の様子は異なることも分かった。ただし一次予防の観点から言えば、やはり、脳卒中の予防には降圧が重要ということになる」と結論付けた。

 ちなみに年齢別に解析すると、80歳以上の高齢者に着目した場合でも、血圧が高いほど脳卒中の発症率が高くなる傾向が見られたという。「80歳以上でも積極的な降圧に大きなメリットがあることを示したHYVE(THYpertension in the Very Elderly Trial)の結果とも一致する結果だ」と有馬氏は指摘した。