スペインValencia大のJosep Redon氏

 ヨーロッパ諸国を対象に、1990年から2002年までの間の脳卒中死亡率の動向を評価したところ、国によってバラつきがあるだけでなく、脳卒中死亡率の高い国の中には悪化する傾向が見られ、若年層ほど顕著であることが分かった。欧州高血圧学会科学会議のメンバーであるスペインValencia大のJosep Redon氏(写真)らの分析で明らかになったもので、6月16日、HYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。


 Redon氏らはWHOのデータベース、WHO Statistical Information System (WHOSIS)をもとにヨーロッパ諸国の脳卒中死亡率を調べた。その結果、WHOが定める7ランクのうち最上位に当たるAランク(子供と大人の死亡率がとても低い)は26カ国、Bランク(子供も大人も死亡率が低い)は10カ国、Cランク(子供の死亡率は低いが大人の死亡率は高い)は9カ国だった。

 たとえばAランクには、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイスなどが、Cランクには、ベラルーシ、エストニア、ハンガリー、カザフスタン、ラトビア、リトアニアなどが含まれていた。
 
 ヨーロッパ全体では、2002年の10万人当たり年間死亡者数は90.0人を超えており、中国の160.0人に次いで多かった。国別では、ルーマニアが10万人当たり年間死亡者数250.0人で最も多く、キルギスタン、カザフスタン、グルジア、アルバニアなどと続いた。

 それぞれのランクのグループごとに、男女別に動向をみたところ、Aグループでは男女とも26カ国中2カ国で脳卒中死亡率が悪化していた。一方、Bグループでは男女とも10カ国中4カ国で、Cグループでは男性が9カ国中5カ国、女性が9カ国中6カ国で、それぞれ脳卒中死亡率が高くなっており、脳卒中死亡率の高い国の方ほど悪化傾向が際立っていた。

 また、年齢別に層別分析を行ったところ、各グループとも、年齢が高いほど脳卒中死亡率は高い傾向にあった。これは男女別で違いはなかった。

 グループ間で脳卒中死亡率を比較したところ、45-54歳、55-64歳、65-75歳、75歳以上の各年齢層で、AグループよりBおよびCグループの方が高い結果となった。Bグループでは、男性が45-54歳で4.5倍、55-64歳3.8倍、65-75歳で3.7倍、75歳以上で1.5倍だった。同じく、女性が4.0倍、4.2倍、3.8倍、1.6倍だった。また、Cグループでは、男性が5.0倍、5.0倍、3.7倍、1.8倍、女性が4.5倍、4.5倍、3.9倍、1.8倍となっていた。

 若い年齢層ほど脳卒中死亡率の悪化傾向が顕著であったことから、Redon氏らは、「脳卒中死亡率が高くなっていた国では、早急に対策を講じるべきである」と警告した。