Monash大のZanfina Ademi氏

 降圧薬の患者一人当たり平均年間費用は461豪ドル、日本円で4万7000円に上っていることが分かった。アテローム血栓症に関する国際観察研究(REACH Registry)の登録者の分析から明らかになったもので、Monash大のZanfina Ademi氏(写真)らが6月16日、HYPERTENSION2008のポスターセッションで発表した。

 REACH Registry(the landmark international Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)は、アテローム血栓症を一つの病態として追跡する大規模国際共同研究で、世界の主要6地域(北米、ラテンアメリカ、東ヨーロッパ、西ヨーロッパ、中東、アジア)の国々にオーストラリアと日本を加えた合計44カ国が参加している。登録対象は、45歳以上の外来患者で、脳血管疾患(CVD)や冠動脈疾患(CAD)、末梢動脈疾患(PAD)のほか、アテローム血栓症の危険因子を持つ人となっている。

 Ademi氏らは、豪のREACH登録者を対象に、アテローム血栓症患者およびハイリスク患者に投与される降圧薬の年間費用がどのぐらいかを弾き出した。対象者は豪の273医療機関から登録された2783人。

 降圧薬のデータは登録時の薬物治療レビューから抽出した。降圧薬の費用は、国の医療費データ(2007年)に基づいて計算した。

 年間費用は男女および疾患の種類別に層別化して分析した。疾患別の割合は、CVD13.0%、CAD59.0%、PAD2.5%などで、それぞれ複数を合併する患者もいた。なお、アテローム血栓症の危険因子のみ存在する登録者は11%だった。

 分析の結果、対象者全体でみた場合、降圧薬の一人当たり平均年間費用は461±5豪ドル(日本円で4万7000円)に上っていた。男女別では、女性が487±8豪ドルで、男性の447±6豪ドルより高かった(p<0.001)。

 疾患別では、CADで男性463豪ドル、女性524豪ドル、PADで男性374豪ドル、女性394豪ドル、CVDで男性348豪ドル、女性372豪ドルだった。CADとPAD合併例では、男性534豪ドル、女性569豪ドル、CADとCVD合併例では、男性491豪ドル、女性546豪ドル、PADとCVDでは男性323豪ドル、女性467豪ドル、CADとCVDとPADの合併例では男性461豪ドル、女性623豪ドルとなっていた。なお、アテローム血栓症のリスクだけのグループでは、男性372豪ドル、女性440豪ドルだった。

 この結果から演者らは、「予期されたことだが、冠動脈疾患が存在すると、降圧薬のコストを著しく増加させていた」と考察。また、女性の方の費用が高かった点は興味深いとしつつも、その理由についてはさらなる調査が必要とした。