米フロリダ大のA.E.Cuadra氏

 脳幹部の吻側延髄腹外側部RVLM)に存在することが知られている循環中枢の研究にとって、朗報となる研究成果が報告された。米フロリダ大のA.E.Cuadra氏(写真)らは、ラット由来のRVLM特異的ニューロンを抽出して培養する方法を確立。ニューロンの典型的な特性だけでなく機能的アンジオテンシン1受容体の発現も確認した。6月16日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。

 Cuadra氏らは、3週令ラットを用い、特異的ニューロンを可視化するためAAV2-CBA-GFPウイルスベクターをRVLM内に注入した。遺伝子注入の10日後にラットからRVLMを摘出し、酵素を使いさらに機械的に細胞を分離した。

 細胞は、Neurobasal A培地とともに培養皿にのせ定着するまで10日間置いた。その後、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現によって可視化されたニューロンを分析に用いた。

 その結果、培養中のおよそ50%の細胞でニューロンマーカーの発現がみられた。GFP陽性ニューロンでは、アンジオテンシン1受容体(ATIレセプター)およびドーパミン-β-ヒドロキシラーゼ免疫活性を認めた。100nMのアンジオテンシンIIを培養ニューロンに加えるとBa2+電流(IBa)が30%上昇し、ATIレセプター拮抗薬であるロサルタン(2μM)によって効果がブロックされることも確認した。

 また、GFP陽性ニューロンはK+およびCa2+電流を示し、「RVLMニューロンで確認されていたデータと同等のものであった」(Cuadra氏)。このうちK+電流は、速く作用するIAとゆっくり作用するIKVとで構成されていた。Ca2+チャンネルはBa2+電流(IBa)を伝達しているが、培養ニューロンでは100μMのCdCl2により完全に阻害されたという。

 Cuadra氏らは、「成体ラットのRVLM特異的ニューロンを標的とする実験系を確立した」と結論。循環中枢の研究に貢献する技術であることをアピールした。