Berlin-Charite大のRalf Dechend氏

 注目のレニン阻害薬アリスキレン」を、心不全患者に投与した場合の安全性はどうか−−。HYPERTENSION2008の初日、地元Berlin-Charite大のRalf Dechend氏(写真)が「レニン阻害薬」のセッションで、昨年9月に発表された300人規模のALOFT(Aliskiren Observation of Heart Failure Treatment)試験について解説した。

 ALOFT試験の対象者となったのは、安定的な心不全を持つ患者約300人だ。BNPが100pg/mLより大きく、ACE阻害薬かARBのどちらかとβ遮断薬を服用している人を試験に登録した。

 主要評価項目は、アリスキレン150mgを投与した場合の忍容性と安全性の確認。副次的評価項目はBNP、NT-pro-BNP、アルドステロンの数値、血圧などの測定とした。

 アリスキレン投与群(156人、平均年齢67歳)とプラセボ投与群(146人、平均年齢68歳)に割り付け、それぞれ2週間プラセボを投与した後(シングルブラインド)、プラセボ群にはプラセボ/日の投与、実薬群にはアリスキレン150mg/日の投与し(ダブルブラインド)、12週間継続した。

「安全性」はプラセボと有意差なし

 12(+2)週後に腎不全を発症した患者は、アリスキレン投与群1.9%に対してプラセボ群1.4%、高カリウム血症はそれぞれ3.2%と1.4%、高カルシウム血症は6.4%と4.8%だった。いずれもアリスキレン投与群が高かったものの、有意差はなかった。

 一方BNP、NT-pro-BNPはともに、アリスキレン投与群の方が有意に低下していた(p<0.05)。血清中のレニン活性も有意(p<0.0001)に低下し、尿中のアルドステロン値も有意に低下していた(p<0.05)。

 Dechend氏は試験結果について、「ACE阻害薬あるいはARBによる治療を受けている患者にアリスキレンを投与した場合の忍容性はよかった。また、β遮断薬を投与されている患者であってもレニン活性を阻害できること、BNPを低下させる好ましい作用があることも分かった。心不全患者にACE阻害薬やARBが投与されている場合、それらをアリスキレンに置き換えたり、『アドオン』することについて、さらに研究する価値がありそうだ」と結論している。