京都大学医学部付属病院の塩見紘樹氏

 3枝病変、特にSYNTAXスコアの高い症例においては、冠動脈バイパス術CABG)が標準治療であることが示された。日本の26の医療施設が取り組むコホート研究であるCREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort IIの解析結果で、京都大学医学部付属病院の塩見紘樹氏らが、8月31日までパリで開催された欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とCABGの効果を比較検討したSYNTAX試験の3年後の結果から、3枝病変患者においては、PCIはCABGに比べて全死亡リスク、死亡と心筋梗塞(MI)と脳卒中の複合エンドポイントのリスクが有意に高いことが示唆された。また、SYNTAXスコアが中スコアかあるいは高スコアの症例では、PCIでは複合エンドポイントのリスクが増大することも示された。しかし、同試験は統計学的検出力の不足が指摘されていた。そこで演者らは、CREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort IIのデータを用いて、3枝病変患者におけるPCIとCABGの3年におよぶ長期転帰を比較した。

 コホートの登録症例は、PCI患者が1万3087人、CABG患者が2176人。このうち3枝病変患者は2981人で、PCI群は1825人、CABA群は1156人だった。

 主要評価項目は、死亡+MI+脳卒中の複合エンドポイント。副次的評価項目は、死亡、心臓死、MI,、脳卒中、冠血流再建の各発生率。登録期間は2005年1月から2007年12月までで、追跡期間は3年だった。

 登録時の患者背景は、年齢(PCI群69.7±10.0、CABG群68.0±8.9、p<0.001)、75歳以上の割合(PCI群35%、CABG群26%、p<0.001)、BMI(PCI群23.8±3.6、CABG群23.5±3.3、p=0.005)、インスリン治療中の割合(PCI群14%、CABG群19%、p<0.001)などで有意差を認めた。

 検討の結果、PCI群はCABG群に比べて3年後の主要評価項目のリスクが有意に高いことが分かった(18.3% 対 15.2%、調整後ハザード比:1.47、95%信頼区間:1.13-1.92、Log-rank p=0.03)。 副次的評価項目では、全死亡、MIの発生、血行再建術の割合などで、CABG群がPCI群より有意に低いという結果だった。

 次にSYNTAXスコアの測定が可能だったPCI群1792人、CABG群1020人を対象に、SYNTAXスコアの低スコア群、中スコア群、高スコア群に層別化し、比較検討した。その結果、主要評価項目の累積発生率は、低スコア群、中スコア群でPCI群とCABG群で有意差は見られなかった。一方、高スコア群では、PCI群の方がCABG群より有意に高いという結果だった(ハザード比:1.68、95%信頼区間:1.18-2.39、p=0.004)。調整後のハザード比は1.59(95%信頼区間:0.998-2.54、p=0.051)となり、有意差には至らなかったが高スコア群では、PCI群が高い傾向にあった。

 これらの結果から演者らは、「3枝病変、特にSYNTAXスコアの高い症例においては、CABGが標準治療であることが示された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)