オーストラリアHeart Research CentreのM. Worcester氏

 うつ病急性心筋梗塞患者によく認められる病態であり、心血管イベント再発リスク軽減のために行動様式の変容を強く勧められた際に起こりやすいと指摘されている。このため、オーストラリアHeart Research CentreのM. Worcester氏らは、心臓病患者の行動様式の変容とうつの管理を支援するために開発されたプログラム「Beating Heart Problems」の臨床応用に取り組み、良好な成績を得た。その成果は、8月31日までパリで開催されていた欧州心臓学会(ESC2011)で発表された。

 プログラムは、認知行動療法と意欲をかきたてる面談法を応用して開発された。Worcester氏らは、このプログラムの効果を検討するため、無作為化対照試験を2008年から2010年まで行った。

 対象は275人。急性心筋梗塞が40%で、CABGは32%、PCIは28%で行われていた。すべての参加者について、無作為化の前に、患者の急性心イベントが起こった6週間後(ベースライン)での心理学的リスク因子の評価を行った。Beating Heart Problemsによる治療群の患者は、8週間におよぶグループプログラムに参加した。一方、対照群の患者は通常のケアを受けた。

 すべての患者について、4カ月と12カ月時に再度病院でリスク因子の評価を行った。心理学的および行動的指標は自己申告質問票によって評価した。

 275人の参加者のうち42人(15%)は、ベースラインでのベック抑うつ質問票(Beck Depression Inventory-II)のスコアが13以上でうつ状態にあった。この42人を治療群(21人)と対照群(21人)に無作為に振り分け、うつを持つ患者に対するプログラムの効果を調べた。両群の背景としては、既婚が治療群で有意に多かった以外は、著しい差は見当たらなかった。

 試験の結果、4カ月時では、治療群でうつ症状の軽減(p=0.044)、胴囲の増加(p=0.026)および怒りのコントロールに対する自信(p=0.030)、不安のコントロールに対する自信(p=0.043)が、対照群よりいずれも有意に大きかった。また、12カ月時では、治療群は対照群よりも、うつの寛解が高く(χ2乗検定、p=0.048)、引き続き、怒りのコントロールに対する自信が向上し(p=0.022)、自己評価した健康状態の改善も大きかった(p=0.028)。

 これらの結果から演者らは、「行動および感情管理を統合した二次予防プログラムであるBeating Heart Problemsは、うつ病の心臓病患者のうつ症状を軽減し、自信を向上させ、健康状態の改善につながる」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)