ブラジルUniversity of Sao PauloのLuciana S. Fornari氏

 小学生児童に対して健康的なライフスタイルに関する教育を行うことで、親だけに行う場合に比べ、親の心血管疾患リスク減少への効果は大幅に向上することが示された。ブラジルUniversity of Sao PauloのLuciana S. Fornari氏らが、約200人の児童とその親を対象に行った、前向き対照試験で明らかにしたもの。成果は、8月31日までパリで開催された欧州心臓病学会(ESC2011)で発表された。

 Fornari氏らは、サンパウロの私立小学校に通う6〜10歳の児童、合わせて197人とその親323人について、試験を行った。研究グループは被験者を2群に分け、一方のコントロール群の児童とその親に対しては、年に2回、栄養や運動、禁煙といった健康的なライフスタイルについて、教育的印刷物を配布した。もう一方の介入群には、コントロール群と同様の印刷物を配布した上に、児童に対し、毎週、映像や遊び、調理実習、健康的ライフスタイルに関するディスカッション、家族参加の自転車イベントなどを展開し、健康的な食事、禁煙、運動など、心血管疾患予防に関する教育を行った。

 コントロール群の親の数は161人、うち女性は53.4%、平均年齢は39歳、一方の介入群は162人、女性は55.5%、平均年齢は38歳だった。

 試験開始時点とその1年後に、被験者について、栄養や運動に関する調査、体重、身長、胴囲、血圧、血糖値や総コレステロール値などの検査を行った。

 試験開始時点では、フラミンガム・リスクスコアで、この先10年の心血管疾患発症リスクが年10%超と予測された人は、コントロール群の親のうち9.30%(15人)、介入群の親の6.80%(11人)だった。

 1年後に両群を比較したところ、この先10年の心血管疾患発症リスクが年10%超と予測された人は、コントロール群では13人と13%の減少に留まったのに対し、介入群では1人へと91%も減少した(p=0.0002)。

 会場からは、「私立の小学校という、社会経済的レベルがより高いグループを対象としたので良好な結果が得られたが、社会経済レベルが低い層ではどうなのか」という疑問が出た。Fornari氏は、「今後、公立小学校を対象にした試験を計画している」と回答した。

 また、「同試験の介入では、多くの人と時間を要しているので、同様な介入が他のブラジルの小学校で実現可能なのか」という質問と関連し、会場に同席した共同研究者から、「この試験にかかった費用は、総額3万5000米ドルと、試験研究としは比較的安い方だ」というコメントがあった。

(日経メディカル別冊編集)