イタリアInstitute of Clinical Physiology of CNRのF. Bonaguidi氏

 心筋梗塞患者の「かっとなる性格」は、長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っていることが示された。イタリアInstitute of Clinical Physiology of CNRのF. Bonaguidi氏らが、8月31日までパリで開催された欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

 これまで、心理的状態は虚血性心疾患と相関があることが示唆されている。演者らは、急性心筋梗塞(AMI)後に生還した患者において、性格特性と行動反応により長期死亡率予測ができるかどうかを検証した。

 方法は、イタリアの13カ所の循環器科病院から、AMI後の患者228人(男性200人、平均年齢55±8歳)を退院前の時点で調査した。心理面については、Cattelの16PF質問票とPsy-Inventoryスケールを用いて評価した。臨床データ、性別、年齢、従来のリスク因子、心筋逸脱酵素、断層心エコーによる左室壁運動スコア指数および心拍変動についても検討した。患者を重篤なイベント(心臓死と非致死性再梗塞)について、97カ月間(中央値、範囲1-135カ月)追跡した。

 その結果、追跡期間中、51件のイベントが記録された。28件は心臓死、23件は非致死性再梗塞だった。

 単変量のCoxハザードモデルでは、怒り(ハザード比:2.35、95%信頼区間:1.33-4.16、p=0.003)、不安感(ハザード比:1.83、同:1.06-3.16、p=0.029)に関して高スコアである場合、新しいイベントが生じるリスクが上昇することが示された。これらは他のどの臨床的、画像的、検査的、心電図のバイオマーカーよりも上回っていた。さらに、多変量Coxハザードモデルでは、怒り(ハザード比:2.30、同:1.29-4.08、p=0.004)、ストレスに関連した動揺(ハザード比:1.90、同:1.09-3.28、p=0.022)が予測因子として浮かび上がった。

 怒りの性格(かっとなる性格)の有無で2群に分け、再梗塞のない累積生存率を比較したところ、120カ月時点で怒りの性格である群が57.4%だったのに対し、怒りの性格でなかった群は78.5%と有意に高いという結果だった(p=0.0025、Log Rank検定)。

 これらの結果から演者らは、「怒りとストレスに関連した症状は、AMIの長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っている」と結論。「今回のデータは、すぐにかっとなる患者に対して的を絞った心理療法や行動介入を行う意義を疫学的に支持したものとなった」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)