英ケンブリッジ大学のO.H. Franco Duran氏

 カカオ豆をベースにしたダークチョコレートには、心代謝障害の発症リスクを減少させる効果があることが示された。関連論文の系統的レビューによるメタ解析で明らかになったもので、英ケンブリッジ大学のO.H. Franco Duran氏らが、8月31日までパリで開催されていた欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

 これまで、いくつかの論文でカカオ豆をベースにした菓子類は血圧低下や血流改善に関連していることが報告されている。カカオ豆に含まれる抗酸化物質の効果と考えられてきたが、機序については不明な点が多かった。Oscar Franco氏らは、心代謝障害の発症リスクに関してチョコレート消費の影響を評価することを目的に検討を行った。

 2010年10月に、さまざまなデータベース(Medline、Embase、Cochrane Library、PubMed、CINAHL、IPA、Web of Science、Scopus、Pascal)を用い系統的レビューを行った。成人に対して行われた横断的、症例対照、コホートおよび無作為化試験を選び、心血管疾患、糖尿病およびメタボリック症候群などの心代謝障害に関連したアウトカムについてチョコレート消費の影響が報告されている試験を抽出した。その上で、チョコレート消費の一番多いグループと一番少ないグループとを比較して、心代謝障害を発症するリスクを評価するためにメタ解析を行った。

 4576報の文献から、7報が選定基準に合致した(参加者総数は11万4009人)。この7報の試験間にはチョコレート消費の測定法、方法およびアウトカムに大きな違いが認められた。7試験のうち5試験において、心代謝障害のリスクに対し、チョコレート消費がより多いグループに有益な効果があることが報告されていた。一番チョコレートの消費量が多いグループは、一番少ないグループに比べ、心血管疾患を37%(オッズ比:0.63、95%信頼区間:0.44‐0.90)、脳卒中を29%(オッズ比:0.71、同:0.52‐0.98)、それぞれ減少させていた。

 これらの結果から演者らは、「今回のレビューの結果、チョコレート消費は心代謝障害リスクの大きな減少と関係があることが示唆された」と結論。その上で、チョコレート消費の有益な効果を確認するために、さらに検証が必要であると、コメントした。また、健康に良い成分はビターカカオに含まれており、砂糖や脂肪分に含まれているのではないとし、「市場に出回っているチョコレートは非常にカロリーが高いので、食べ過ぎは、肥満や糖尿病ばかりか心臓病のリスクをも上昇させる恐れがある」と注意も促した。

(日経メディカル別冊編集)