HDLコレステロールHDL-C)を上昇させる新しい機序の脂質異常症治療薬として注目されている、コレステロール転送蛋白(CETP)阻害薬dalcetapibダルセトラピブ)。本薬剤についてはHot Lineセッションで発表されたdal-VESSEL試験だけでなく、動脈硬化進展に及ぼす作用を2種類の画像診断法で評価したdal-PLAQUE試験も注目を集めた。2年間のdalcetrapib投与により血管病変の進展や炎症の抑制効果が認められたと、米Mount Sainai Medical CenterのZahi A. Fayad氏らが8月31日までパリで開催されていた欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

 本試験は、ランダム化・二重盲検・プラセボ対照の第2b相試験として、米とカナダで実施された。対象者はdalcetrapib(600mg/日)群に64例、プラセボ群に66例が割り付けられ、24カ月間追跡された。

 本試験の特徴は、非侵襲的な画像診断法を組み合わせて、dalcetapibが血管病変や炎症に及ぼす作用を検討したことだ。まずMRIにより動脈壁の形態学的な変化を指標として、動脈硬化の進展を評価。さらに18F-FDG-PET/CTを用いて、指標血管(左右の頸動脈か胸部上行大動脈)の血管壁と血液の18F-FDG取り込み比(TBR)を指標に、動脈壁プラークの炎症の程度を分析した。

 動脈硬化進展の指標である総血管面積(TVA)について、MRIによる24カ月後の評価では、プラセボ群では増加したがdalcetrapib群ではほとんど変化せず、両群間に有意差を認めた。24カ月後の壁面積、壁肥厚、正常化壁指数(normalized wall index)の変化もdalcetrapib群の方が良好で、事前に定められた「有害作用なし(no harm)」の範囲内だった。

 一方、PET/CTによる3カ月後および6カ月後の指標血管の炎症所見は、両群間で有意差はなかった。また、指標血管の中で最も病変が進行した血管(MDS)のTBRは、プラセボ群ではほとんど変化しなかったがdalcetrapib群では6カ月後まで経時的に低下した。また、HDL-C値が上昇した群ほど、MDS-TBRの低下度は大きかった。

 なお、dalcetrapib投与24カ月後には、プラセボ補正後の最小二乗平均としてHDL-C値は26.9%、アポA1は6.8%増加したが、他の血清脂質に関しては有意な変動は見られなかった。

 副作用発現率はdalcetrapib群17%、プラセボ群28%と前者で低く、dalcetrapib群ではプラセボ群に比べて血圧は上昇しなかった。なお、心血管イベントはプラセボ群では7例(13件)、dalcetrapib群では2例(2件)発生した。

 以上の検討からFayad氏は、「dalcetrapibを投与しても血管への病理学的な悪影響は認められず、HDL-C値の上昇と、血管の炎症や形態的変化の抑制との間に関連を認めた」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)