スイスBern University HospitalのLorenz Raber氏

 エベロリムス溶出ステントEES)は、シロリムス溶出ステントSES)やパクリタキセル溶出ステントPES)に比べ、経皮的冠状動脈インターベンションPCI)実施4年後までのステント血栓症リスクを、6〜7割程度削減することが示された。この差はPCI実施1年以降に発生する遅発性ステント血栓症でさらに顕著で、EESの同発症リスクは、SESやPESの3分の1から4分の1に減少した。スイスBern University HospitalのLorenz Raber氏らが、1万2000人超を対象に行ったBern-Rotterdamコホート試験で明らかになったもので、8月27日から31日までパリで開催された欧州心臓病学会(ESC2011)で発表した。

 これまでの研究結果から、SESやPESといった薬剤溶出ステントは、従来のベアメタルステントに比べ、PCI実施1年以降の遅発性ステント血栓症の発症リスクを増大することが知られている。同発症率は年率0.5〜0.6%と報告されている。

 Raber氏らは、2002〜2009年にかけて、スイスとオランダの2カ所の医療機関を通じて、PCIを行う患者の計1万2339人について試験を行った。被験者は、2006年1月までに治療を行った人のうち、3819人はシロリムス溶出ステント(SES)を、4308人はパクリタキセル溶出ステント(PES)を使ってPCIを実施した。2006年11月以降に治療を行った4212人は、EESを使った。追跡期間の中央値は、SES群が4.0年、PES群が3.0年、EESが2.5年だった。追跡率は、95.9%〜97.5%と高率だった。主要評価項目は、PCI実施後4年までの、ステント血栓症の発症とした。

 その結果、実施後4年までのステント血栓症発症率は、PES群が4.4%、SES群が2.9%に対し、EES群は1.4%と有意に低率だった。同発症に関する、EES群のPES群に対するハザード比は、0.33(95%信頼区間:0.23〜0.48、p<0.0001)と、同リスクは3分の1に減少した。また、EES群のSES群に対する同ハザード比は0.41(同:0.27〜0.62、p<0.0001)と、こちらも大幅にリスクが減少した。

 PCI実施1年以降の遅発性ステント血栓症発症については、この傾向はより顕著で、発症率はPES群が2.4%、SES群が1.6%に対し、EES群は0.6%と有意に低率だった。同発症に関する、EES群のPES群に対するハザード比は、0.24(同:0.13〜0.47、p<0.0001)、EES群のSES群に対する同ハザード比は0.33(同:0.15〜0.72、p=0.006)と、同リスクは大幅に減少した。

 副次的評価項目についても、PCI実施4年後までの心筋梗塞発症率は、PES群が7%、SES群が5%に対し、EES群は3.5%と、有意に低率だった。

 ディスカッサントとして登壇したフランスClinique PasteurのJean Fajadet氏は、同試験の強味は規模が大きいこと、一方で限界は無作為化試験ではなく、またEES群は他の2群に比べPCI実施時期が異なる点などを指摘した。また、これまでに発表された他の試験結果と、今回のコホート試験の結果から、これまでの薬剤溶出ステントとEESにおける遅発性ステント血栓症の発症リスクの違いは、「(被験者に対する排除項目を最少限にし)全ての患者を受け入れたという点で、より重要になると考えられる」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)