スペインSant Pau University HospitalのManel Sabate氏

 非ST上昇型心筋梗塞STEMI)患者に対する経皮的冠状動脈インターベンションPCI)について、エベロリムス溶出ステントEES)とベアメタルステントであるコバルトクロミウム・ステントCCS)を比較したところ、1年後の総死亡、心筋梗塞、血行再建のいずれかの発生リスクは同等であることが分かった。一方で、標的病変血行再建(TLR)や標的血管血行再建(TVR)、ステント血栓症のそれぞれ発生率は、EES群で有意に低率で、EESの安全性が確認された。スペインSant Pau University HospitalのManel Sabate氏らが行った前向き無作為化試験(EXAMINATION)の結果で明らかになった。成果は、8月27日からパリで開催されている欧州心臓病学会(ESC2011)で発表された。

 これまでに発表されたSTEMI患者に対する薬剤溶出ステントの結果は、被験者の選択項目が多く、広く一般的な患者に関するものは少ないという。Sabate氏は、「EXAMINATION試験の結果は、新世代薬剤溶出ステントの安全性を、ハイリスクのSTEMI患者を対象に検証した初めての無作為化試験で、ステント血栓症の心配はないことが確認された」と語った。

 EXAMINATION試験では、3カ国、12カ所の医療機関を通じて、発症48時間以内に医療機関を訪れた18歳以上のSTEMI患者、1504人について試験を行った。被験者の排除項目は、18歳未満や妊娠などの他は最少限に留め、結果として試験を実施した医療機関を訪れたSTEMI患者の70%を対象にできたため、より実態に沿った試験になった。

 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはEESを、もう一方にはCCSを、それぞれ用いてPCIを実施し、1年間追跡した。主要評価項目は、1年後の総死亡、心筋梗塞、全ての血行再建術の実施、のいずれかだった。

 その結果、主要評価項目の発生率には、EES群とCCS群で、有意な差はなかった。副次的評価項目については、TLR非発生率が、CCS群で94.9%に対しEES群で97.8%、TVRはそれぞれ93.0%と96.1%と、いずれもEES群で有意に高率だった(それぞれp=0.003、p=0.007)。

 ステント血栓症(確実なものと可能性の高いものを含む)の非発生率もまた、CCS群で97.4%に対しEES群で99.1%と、有意に高率だった(p=0.01)。ステント血栓症に関する、死亡、心筋梗塞、血行再建の発生件数について両群を比較したところ、CCSではそれぞれ4人、11人、13人に対し、EES群では3人、3人、5人と、いずれも少ない傾向が認められた。

 ディスカッサントとして登壇したベルギーOLV HospitalのWilliam Wijns氏は、主要評価項目で有意差は見られなかったものの、「EESは従来のベアメタルステントに比べ、ステント血栓症リスクを低減する、という仮説を立てるには十分な結果だ」とした。また、この結果を受けて、「同試験で使われたEESについては、STEMI患者に使用するにあたり、早期安全性に関する医師の心配は減るだろう」と語った。

 そして、その両者の点を確認するためには、「EXAMINATIONは、より大規模に3年間追跡を続けることが必要で、2013年のESCでの結果発表を期待している」と結んだ。

(日経メディカル別冊編集)