スウェーデンUppsala University HospitalのG. Arefalk氏

 心筋梗塞後の患者は、煙の出ないタバコ(嗅ぎタバコ)であってもやめた方がよいとする報告があった。2000人規模の前向きコホート研究の結果で明らかになった。成果は、スウェーデンUppsala University HospitalのG. Arefalk氏らが、8月27日からパリで開催されている欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

 スウェーデンでは、煙の出ないタバコ(スウェーデン式嗅ぎタバコ)はより安全な喫煙の代替法として推奨されていることもあって、最近その利用が増加している。Arefalk氏らは、利用者の増加に伴い、嗅ぎタバコの利用者において致死性心筋梗塞(MI)のリスク上昇がみられるとの報告があるため、「MI後に嗅ぎタバコをやめると全死亡リスクを減少させる」との仮説のもとで、前向きコホート試験に取り組んだ。

 心臓関連の前向きコホート研究であるSWEDEHEART(2万1220人)から、嗅ぎタバコ利用者で、2005年から2009年の間にMIでCCU(冠動脈疾患集中治療室)に入院し、2カ月以内に退院した75歳以下の患者を抽出した。抽出の結果、2474人が追跡対象となった。調査では、登録時に患者背景や過去と現在のタバコ使用などのデータを収集した。その後、MI後に嗅ぎタバコをやめた群(675人)と利用を続けた群(1799人)の間で、MI後の全死亡リスクと嗅ぎタバコ使用の関係について検討した。追跡期間は2.1年(中央値)だった。

 その結果、追跡期間中に死亡したのは83人で、MI後に嗅ぎタバコをやめた群は14人、利用を続けた群では69人だった。Cox回帰分析を用いハザード比を求めたところ、年齢、性別および現在・過去の喫煙状態で補正したモデルにおいては、MI後にやめた群は利用を続けた群に比べて、全死亡リスクが低かった(ハザード比:0.56、95%信頼区間:0.31‐0.99)。このモデルに、さらに糖尿病、高血圧、収縮期および拡張期血圧、体格指数、胴囲、心筋梗塞の種類、心臓リハビリテーションプログラムへの参加、運動量、職業について補正を行った後も、同様にやめた群は利用している群に比べて、全死亡リスクが低いという結果となった(ハザード比:0.68、同:0.38-1.21)。

 これらの結果から演者らは、「今回の検討で、心筋梗塞後に嗅ぎタバコをやめると死亡リスクが低下することが分かった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)