京都大学医学部循環器内科の木村剛氏

 エベロリムス溶出ステントEES)は、経皮的冠状動脈インターベンション(PCI)実施後1年の標的病変血行再建率やセグメント内レイト内腔損失において、シロリムス溶出ステントSES)に対して非劣性であることが証明された。これは、京都大学医学部循環器内科の木村剛氏らが行った、前向き無作為化試験(RESET)の結果明らかになったもので、8月27日からパリで開催されている欧州心臓病学会(ESC2011)で発表した。

 木村氏らは、薬剤溶出ステントを用いてPCIを行う予定の3206人を、無作為に2群に分け、一方にはエベロリムス溶出ステントを、もう一方にはシロリムス溶出ステントを用い、PCIを実施した。被験者の平均年齢は、69歳だった。

 主要評価項目は、術後12カ月の標的病変血行再建率だった。また、血管造影によるエンドポイントは、術後8〜12カ月のセグメント内レイト内腔損失で、被験者のうち571人について血管造影を実施した。

 その結果、術後1年の標的病変血行再建率は、EES群が4.3%に対しSES群が5.0%と、EESのSESに対する非劣性が証明された(非劣性に関するp値はp<0.0001)。一方でEES群のSES群に対する優性については、有意差は認められなかった。術後8〜12カ月のセグメント内レイト内腔損失も、EES群が0.07mmに対しSES群が0.03mmと、EESのSESに対する非劣性が示された(非劣性に関するp値はp<0.0001)。

 また、総死亡率はEES群で1.9%、SES群で2.5%、心筋梗塞発症率はそれぞれ3.0%と3.5%、ステント血栓症も、それぞれ0.39%と0.38%と、いずれも低率で、両群で有意差はなかった。

 事前に規定したサブ解析では、インスリン治療を行う糖尿病患者において、術後1年の標的病変血行再建率がEES群でSES群に比べ有意に低率で、ハザード比は0.42だった。一方で、インスリン治療を行っていない糖尿病患者では、両群に有意差は認められなかった。

 木村氏は、同試験の限界の1つとして、SESが既に市場から撤退したため、試験結果を、臨床現場で薬剤溶出ステントの選択に適用することができない点を挙げた。その上で、「SESは当時最も一般的に使われていた第一世代薬剤溶出ステントであり、今回得られたSESの臨床アウトカムは、現・次世代薬剤溶出ステントのベンチマークとなる」と語った。

 また、今回の試験では、被験者に比較的低リスクの人が多く、その結果イベント発生率が低かったため、今後はよりリスクの高い患者について試験を行っていくとした。

(日経メディカル別冊編集)