フランスのRennes大学病院のPhilippe Mabo氏

 ICD植込み手術後の遠隔モニタリングは、従来の病院での定期チェックに代わる安全な管理システムだが、従来の定期チェックと比較し主要イベントの発生率に違いはなく、統計的な非劣性は証明されなかった」。フランスのRennes大学病院のPhilippe Mabo氏は、8月27日からパリで開催されている欧州心臓病学会(ESC2011)でEVATEL試験の結果を発表し、このように話した。一方で、遠隔モニタリングにおいては、不適切なICD作動が有意に低いという有効性も明らかになった。

 同試験は、ICD植込み手術後の遠隔モニタリングの安全性と効果について評価を行った欧州で初めての臨床試験で、フランス政府の資金援助の下で行われた。

 遠隔モニタリング製品は複数あるが、Biotronik、Medtronic社を始めとする全4社の製品を使用した。

 フランスの30件の医療センターで登録された1501人を対象とし、無作為に遠隔モニタリング群と対照群に分けた。遠隔モニタリング群はデータを家から伝送し、対照群は従来通り外来を受診して、いずれの群も3カ月に1回のフォローアップを実施した。試験期間は1年。主要評価項目は、主要イベント(全死亡、冠動脈疾患による入院、無効および不適切なICD治療)の複合エンドポイントとした。

 その結果、一度でも主要イベントを発生した患者は、遠隔モニタリング群で210人(30.2%)、対照群で210人(28.5%)と差がなく(p=0.47)、2群間の主要イベント発生率においてper protocol 解析による非劣性は証明されなかった(p=0.086)。また、試験期間の1年間における初発イベントの時期(p=0.71)や生存率(p=0.31)においても有意差はなかった。

 一方、不適切なICD作動は、遠隔モニタリング群の方が対照群に比べ有意に低かった(4.7% 対 7.5%、p=0.03)。

 ディスカッサントとして登場したスイスFondazione Cardiocentro TincinoのAngelo Auricchio氏は、「同試験の生存率の解析はまだ途中段階であり、ICD遠隔モニタリングの有効性についてこれまで報告されているTRUST試験などの肯定的な報告に疑問を投げかけるものではない。これまでにも報告されているように、今回も遠隔モニタリングによって不適切なICD治療が有意に減少するという結果が得られたことは朗報だ」と評価した。

(日経メディカル別冊編集)