英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter S. Sever氏

 ASCOT-LLAは、総コレステロール(TC)値が250mg/dL以下で高血圧以外に心血管イベントの危険因子を3つ以上持つ被験者を対象に、アトルバスタチンによるイベント抑制効果を検討した一次予防試験である。本試験参加者を11年間追跡したASCOT-11から、最初にアトルバスタチン群に割り付けられた患者は総死亡リスクが低かったことが明らかになった。8月27日からパリで開催されている欧州心臓病学会(ESC2011)で、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter S. Sever氏らが報告した。

 ASCOT-LLAでは、主要評価項目である非致死的心筋梗塞および致死的冠動脈疾患の発症リスクが、アトルバスタチン(10mg/日)群で36%、副次的評価項目の1つである脳卒中リスクも27%、いずれもプラセボ群に比べ有意に低下した。このようにアトルバスタチンの有効性が確認されたことから、2002年時点(追跡期間3.3年)で計画よりも早期に終了した。

 ASCOT-BPLA終了までの期間、ASCOT-LLAの対象者全例にアトルバスタチン10mg/日の投与が勧告された。その間のスタチン投与率は、両群ともに65%前後だった。ASCOT-BPLA終了時(ASCOT-LLA終了後2.2年目)には両群のLDLコレステロール(LDL-C)値は同程度となったが、最初にアトルバスタチン群に割り付けられた患者は、最初にプラセボ群に割り付けられた患者に対し、心血管イベントの抑制効果が持続していた。

 ASCOT-11の対象は、ASCOT-BPLA終了時に生存が確認されていたintention-to-treat解析集団とし、2010年12月31日まで追跡した。ASCOT-LLA終了後の死亡データを2〜3カ月ごとに集計し、総死亡、心血管死亡、非心血管死亡を解析した。

 3.3年間のASCOT-LLA期間中における死亡者数は、アトルバスタチン群83人、プラセボ群90人、ASCOT-LLA終了後の死亡者数はそれぞれ377人、430人で、ASCOT-11終了時の生存例数はアトルバスタチン群1857人、プラセボ群1768人だった。

 ASCOT-LLA中におけるアトルバスタチン群のプラセボ群に対するハザード比(HR)は、総死亡が0.92(p=0.60)、心血管死亡が0.83(p=0.45)、非心血管死亡が0.99(p=0.94)と、それぞれ有意ではなかった。一方、ランダム割り付け後の全追跡期間で評価すると、心血管死亡リスクに群間差は見られなかったが、総死亡ではアトルバスタチン群が0.86(p=0.02)、非心血管死亡は0.85(p=0.03)と、リスクは有意に低下した。

 そこで、非心血管死亡の内訳についてpost-hoc解析を行ったところ、ASCOT-LLAでは群間差は認められなかったが、全追跡期間ではアトルバスタチン群において、感染症/呼吸器疾患併存死亡リスクの有意な低下(HR:0.64、p=0.04)、感染症死亡リスクの低下傾向(HR:0.60、p=0.06)が認められ、アトルバスタチン群における非心血管死亡リスクの有意な低下は、感染症や呼吸器疾患による死亡の抑制による可能性が考えられた。

 こうした結果は関連因子で補正しても変わらず、全追跡期間における総死亡(HR:0.86、p=0.02)、非心血管死亡(HR:0.84、p=0.03)、感染症/呼吸器疾患死亡(HR:0.64、p=0.04)、感染症死亡(HR:0.59、p=0.05)のリスクは、いずれもアトルバスタチン群で有意に低下した。

 以上の検討からSever氏は、「非心血管死亡に対するスタチンのレガシー効果についての詳細は明らかではないが、ASCOT-LLAで最初にアトルバスタチン群に割り付けられた患者は、長期的に総死亡リスクの低下が認められた。ただし、スタチンが感染症予防に及ぼす影響を検証するには、前向きランダム化試験が必要だろう」と結論した。
 
(日経メディカル別冊編集)