米Duke Clinical Research InstituteのChristopher Granger氏

 1つ以上の脳卒中リスクを有する心房細動患者に対しapixabanアピキサバン)を投与することで、脳卒中または全身性塞栓症リスクは、ワルファリンに比べて21%も減少することが明らかになった。また、Apixaban群ではワルファリン群に比べ、大出血リスクが31%、総死亡リスクが11%、それぞれ有意に減少した。これは、apixabanの治験第III相ARISTOTLE試験の結果で、米Duke Clinical Research InstituteのChristopher Granger氏が、8月27日から31日までパリで開催される欧州心臓病学会(ESC2011)で発表した。

 昨年のESCでは、ワルファリン不適応の心房細動患者に対し、apixabanがアスピリンに比べ、脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクを54%減少させるという試験結果が発表されていた。

 ARISTOTLE試験では、世界39カ国、1034カ所の医療機関を通じて、合わせて1万8201人を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはapixaban5mgを1日2回、もう一方にはワルファリン(国際標準化比の目標値:2.0〜3.0)を、それぞれ投与した。追跡期間の中央値は、1.8年だった。主要アウトカムは、脳卒中または全身性塞栓症の発症だった。

 その結果、主要アウトカムの発症率は、ワルファリン群で年率で1.60%だったのに対し、apixaban群では年率1.27%と、有意に低かった(ハザード比:0.79、95%信頼区間:0.66‐0.95、非劣性に関するp値はp<0.001、優性に関するp値はp=0.01)。

 大出血発症率もまた、ワルファリン群で年率3.09%に対し、apixaban群では年率2.13%と、大幅に低かった(ハザード比:0.69、同:0.60‐0.80、p<0.001)。総死亡率は、ワルファリン群の3.94%に対しapixaban群で3.52%と、1割ほど低率だった(ハザード比:0.89、同:0.80‐0.99、p=0.047)。

 脳卒中については、出血性脳卒中の発症率がワルファリン群で年率0.47%に対し、apixaban群で年率0.24%と、そのリスクはおよそ半減した(ハザード比:0.51、同:0.35‐0.75、p<0.001)。

 これらの結果から、1000人の患者に対してapixabanを投与した場合、ワルファリン投与に比べ、脳卒中は6人、大出血は15人、死亡は8人、それぞれ予防できる成果となった。

 なお、副作用による服用中止は、ワルファリン群が27.5%だったのに対し、apixaban群は25.3%と、有意に低かった(p=0.001)。

 ディスカッサントとして登壇した米Thomas Jefferson Medical SchoolのMichael D.Ezekowitz氏は、ARISTOTLE試験の結果を受けて、「世界中の何百万人もの心房細動患者が、apixabanによって、脳卒中リスクを減少することができることは明らかだ」と高く評価した。その上で、ワルファリンなどの抗凝固薬の服用率が低い現状を受け、「臨床に携わる医師にとって最も基本的な課題は、抗凝固薬の服用中止を減らすことだ。それが、抗凝固薬の効果を最大限に実現することにつながる」と語った。

(日経メディカル別冊編集)

■訂正
・5段落目に「総死亡率は、ワルファリン群の3.52%に対しapixaban群で3.94%と、1割ほど低率だった」とあるのは、「総死亡率は、ワルファリン群の3.94%に対しapixaban群で3.52%と、1割ほど低率だった」の間違いでした。お詫びして訂正します。