男性の場合で、ビール中びんを5本以上、ワイン(1杯120mL)なら10杯近くを一度に飲酒する大量飲酒深酒)は、血圧に悪影響を及ぼすことが示された。また、深酒以上に、アルコールの年間摂取量と頻度が高血圧と深く関係していることも確認された。英University College London(UCL)のM. Bobak氏らが、8月27日から31日までパリで開催される欧州心臓学会(ESC2011)で発表した。

深酒が血圧に及ぼす影響に関するエビデンスは少なく、結果も一貫性に欠けているという。そこで演者らは、深酒は血圧に対して酒量とは無関係に影響を与えるのか(直接的影響)、それとも酒量による血圧への影響に変化を与える(間接的影響)だけなのかなどについて検証した。

 調査には、ロシア、ポーランド、チェコから血圧降下藥を服用していない、45歳から69歳までの男性(7559人)と女性(7471人)からなる都市部の無作為人口標本の横断的データを用いた。年間アルコール摂取量と飲酒頻度および深酒(一度に男性で純エタノール量換算で100g以上、女性で60g以上の摂取を月に一回以上する)について、段階的頻度評価質問票によって調査を行った。血圧は、連続型変数(収縮期および拡張期血圧)と高血圧(≧140/90mmHg)の変化として分析した。データの収集期間は2002年〜2005年。

 解析の結果、深酒をする割合は、男性においてはポーランドが12%、チェコが18%、ロシアが32%だった。女性においては、ロシアとポーランドがそれぞれ1%、チェコが3%だった。

 男性では、深酒による高血圧のオッズ比は、年齢、国、体格指数、教育程度および喫煙について補正した後で、1.62(95%信頼区間:1.45-1.82)だった。また、年間アルコール摂取量でさらに補正したところ、1.20(同:1.03-1.39)まで低下した。女性では、深酒による高血圧の補正後のオッズ比は、1.35(1.12-1.62)で、年間摂取量でさらに補正したオッズ比は1.31(1.05-1.63)となった。

 アルコール摂取量と飲酒の頻度は、ともに男性において血圧と強い関係が認められた。例えば、年間摂取量が12L以上の場合、高血圧のオッズ比は2.5を超え、週に5回以上飲酒する場合ではオッズ比が2を超えていた。なお、女性における年間アルコール摂取量と飲酒頻度の血圧への影響は、男性に比べて明確ではなかった。

 そこで、深酒をする群としない群で検討したところ、男女ともに、深酒は年間アルコール摂取量が血圧に及ぼす影響を変化させることはほとんどなかった。この結果は、ワイン、ビールあるいは蒸留酒といったアルコールのどの種類でも同様だった。また、どの国でも同様で、収縮期/拡張期血圧を連続型変数として用いた分析でも同様の結果が得られた。

 結論として演者らは、「深酒そのものの血圧への影響は中程度であり、アルコール摂取量の血圧に及ぼす影響を変化させるほどのものではなかった」とした。その上で、「高血圧はアルコールの年間摂取量や摂取頻度に深く関係しており、特に男性において強い関連性が認められた」と強調した。

(日経メディカル別冊編集)