カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏

 冠動脈疾患の二次予防のために有効とされる抗血小板薬スタチンなどの投薬率は世界全体で低く、その傾向は特に中〜低所得国で顕著であることが、8月27日から31日までパリで開催される欧州心臓病学会(ESC2011)で示された。PURE(Prospective Urban Rural Epidemiological)試験の成果で、カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏らが発表した。

 同研究は、17カ国628地域(都市および農村部)での心臓疾患や脳卒中の既往歴のある約39万人を対象とした調査。その中から35〜70歳の15万4000人を抽出し、投薬内容のほか、年齢、性別、教育状況、リスク因子(喫煙、糖尿病、高血圧、肥満)などを調べた。なお、17カ国は所得水準によって次のように分類した。高所得国はカナダ、スウェーデン、UAE、中〜高所得国はアルゼンチン、ブラジル、チリ、ポーランド、トルコ、南アフリカ、マレーシア、低〜中所得国は中国、コロンビア、イラン、低所得国はバングラディシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ。

 解析の結果、二次予防のための投薬(抗血小板薬、βブロッカー、ACE阻害薬およびARB、スタチン)の実施率は世界全体で低く、特に所得が低い国ほど低いことが明らかになった。また都市部で高く、農村分で低いことも分かった。「高血圧の患者」で高く、「女性」、「若年者」で低い傾向も見られた。

 例えば、抗血小板薬やβブロッカーの投薬率は、最も高い高所得国の都市部でも約40%程度で、低所得国の農村部では約7%と大きな差があった。降圧薬は、高所得国では7割以上に投与されているのに対し、低所得国(農村部)では約15%に過ぎなかった。

 「効果が実証されていて比較的低コストであるにも関わらず、冠動脈疾患の二次予防の実施率は低く、世界的に大きなギャップがあることが明らかになった。その原因を早急に解明するする必要があるだろう」とYusuf氏はコメントした。 

(日経メディカル別冊編集)