イタリアFondazione Policlinico San MatteoのLuigi Tavaszzi氏

 慢性心不全の患者において、ω3不飽和脂肪酸n-3 PUFA)に、死亡あるいは入院を回避する効果が認められた。一方、スタチンロスバスタチン)には同様の効果は確認されなかった。大規模臨床試験GISSI-HFにより明らかになったもので、イタリアFondazione Policlinico San MatteoのLuigi Tavaszzi氏(写真)らが、8月30日から9月3日までミュンヘンで開催された欧州心臓学会ESC2008)のセッション「HOT LINE I」で発表した。

 GISSI-HFは無作為二重盲検プラセボ対照試験で、イタリアの326の心臓医療センターと31の内科施設で行われた。標準的な心不全療法の補助として、n-3 PUFAあるいはロスバスタチンの効果を明らかにすることが目的。

 n-3 PUFAの試験対象は、慢性心不全の患者6975人。これを、n-3 PUFAを毎日1g摂取するn-3 PUFA群(3494人)と偽薬群(3481人)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、全死亡と全死亡かあるいは心血管疾患による入院の合計。

 両群の背景を見ると、慢性心不全の主な病因は、虚血性がn-3 PUFA群717人(49%)と偽薬群1750人(50%)、拡張性がそれぞれ1053人(30%)と972人(28%)、高血圧性が493人(14%)と543人(16%)だった。

 NYHA分類は、クラスIIがn-3 PUFA群2226人(64%)、偽薬群2199人(63%)で、クラスIII‐IVがそれぞれ1268人(36%)と1282人(37%)だった。LVEF>40%は、n-3 PUFA群333人(9.5%)、偽薬群320人(9.2%)だった。このほか、薬物治療歴でも目立った違いはなかった。

 病歴では、前年における心不全での入院歴に有意差があった(n-3 PUFA群50%対偽薬群47%、p=0.05)ほかは、両群で有意な違いはなかった。

 3.9年(中央値)の追跡調査の結果、全死亡数は、偽薬群が1014例(29.1%)だったのに対し、n-3 PUFA群が955例(27.3%)で有意に少なかった(補正ハザード比;0.91、95.5%信頼区間;0.83‐0.99、p=0.041)。また、全死亡かあるいは心血管疾患による入院の件数も、偽薬群が2053例(59.0%)だったのに対し、n-3 PUFA群が1981例(56.7%)で有意に少なかった(補正ハザード比;0.92、99%信頼区間;0.85‐0.99、p=0.009)。

 一方、ロスバスタチン試験の方は、試験対象は慢性心不全の患者4574人。n-3 PUFA試験の対象者のうち、すでにスタチンを投与されていた1576人、スタチンの禁忌症状が認められる395人らを除いた。これをロスバスタチン投与群(10mg/日、2285人)と偽薬群(2289人)に無作為に割り付けた。

 同様に3.9年(中央値)の追跡調査の結果、全死亡数は偽薬群が644例(28.1%)、ロスバスタチン群が657例(28.8%)と有意差は認められなかった(補正ハザード比;1.00、95.5%信頼区間;0.898‐1.122、p=0.943)。また、全死亡かあるいは心血管疾患による入院の件数も、偽薬群が1283例(56.1%)、ロスバスタチン群が1305例(57.1%)と、こちらも有意差は認められなかった(補正ハザード比;1.01、99%信頼区間;0.908‐1.112、p=0.903)。