冠動脈バイパス術CABG)と同時に行う自家心筋内幹細胞移植で、長期の安全性と有効性が示唆された。5年間追跡した研究の成果で、ドイツRostock大のCan Yerebakan氏らが9月3日、ポスターセッションで発表した。

 演者らは、CABGと同時にCD133+幹細胞を移植した患者35人の長期効果を調査し、コントロール群の20人の患者と比較した。追跡期間は5年だった。臨床的な回復は、ニューヨーク心臓協会のNYHA分類とミネソタ大のMLFHQ(Minnesota Living with Heart Failure questionnaires)とを組み合わせて評価した。心電図、24時間ホルター心電計による測定、心エコー検査、およびMRとCTを用いた心臓画像診断を行い、機能的、形態的に心筋の評価も行った。

 5年の追跡期間中、幹細胞治療群で主要な心有害事象あるいは持続的な心室リズム障害はなかった。統計的に有意ではないが、幹細胞移植群ではコントロール群よりも良いNYHA値とMLFHQ値を示していた。また、平均追跡期間41カ月終了時で、心エコー検査による左室駆出分画率が手術前のそれと比べてコントロール群では改善が見られなかった(手術前36.9±11.5から追跡終了時36.9±11.6)のに対し、幹細胞群では向上していた(手術前40.7±7.0%から追跡終了時42.3±6.7)。なお、CTおよびMR画像診断で幹細胞治療を行った心臓に有害な組織変化は検出されなかった。

 これらの結果から演者らは、「CABG中の心筋内幹細胞移植は、長期の安全性と生存をもたらす心細胞治療として有望である」と結論した。