イタリアA.Manzoni hospitaのFelice Achilli氏

 ST上昇心筋梗塞(STEMI)の患者に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与が心室リモデリングの予防に効果があるかどうかを検証する研究が進行中だ。前向き無作為試験であるSTEM-AMIがそれで、これまでの結果について、イタリアA.Manzoni hospitaのFelice Achilli氏(写真)らが9月3日、ポスターセッションで発表した。

 STEMI患者に対するG-CSF投与の安全性については既にいくつか報告されているが、心室リモデリングの予防に効果があるかどうかは不明だ。演者らは、追跡6カ月時点でMRIにより測定した左室駆出分画率に、少なくとも5%の改善が見られるかどうかでG-CSFの有効性を検証し、早期の血行再建術と比較した場合の細胞治療の補助的な効果を明らかにすることを目的にしている。

 対象は、初発の前部STEMI患者で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けており、左室機能障害(バルーン拡張2時間以上、12時間以下で駆出分画率≦45%)が見られる人。これを無作為に、標準的な治療群と、標準的な治療に加えて初日から4日目まで経皮的にG-CSFを150μg/m2投与するG-CSF群に分けるという試験デザインとなっている。

 全患者に対しては、心エコー検査、ホルター心電計測定、SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)とMRIを試験開始時と180日後に行う。また、試験開始6カ月の時点でステント内再狭窄を見るために冠動脈造影を行う一方、初日、5日目、30日目に採血し、CD14+/CD133+/CD34+細胞について量的および機能的にも評価する。

 これまでの結果は次の通り。2006年7月から2008年1月までに20人の患者(男性18人)が参加、このうち9人がG-CSF群に割り当てられた。平均年齢は58.4±9.3歳、5人(25%)は糖尿病患者だった。

 全患者ともPCIおよび左冠動脈前下行枝のステント挿入(TIMIフロー≧2)を受けて成功した。バルーン拡張の平均時間は330±155分。多枝に渡る疾患は10人の患者にみられた(50%)。また、CPK(クレアチニンホスホキナーゼ)のピークは4920±2989U/Lだった。6人の患者(30%)のKillipクラスが2以上で、そのうち2人は大動脈内カウンターパルゼーションを行う必要があった。なお、8人(40%)の患者で標準の治療に加え利尿薬治療を行った。試験開始時の平均駆出分画(EF)は心エコー、SPECTおよびMRIで測定し、それぞれ6%、34%、41%だった。

 G-CSF群では、PCIから最初のG-CSF注射までの時間は218±137分であった。平均の白血球数は5日目で45.3×109L±7.40であった。これまでにG-CSF投与中に有害事象は観察されず、炎症も特に見られなかった。なお、2008年1月までに10人の患者の追跡調査を終えた。

 これまでの結果から演者らは、左室機能障害と心不全の徴候をそれぞれ100%、40%に認める予後の悪い患者群についても、G-CSF投与の安全性が示唆されたとしている。心室リモデリング予防の検証結果については、11月に開催される米国心臓協会学術集会で発表する予定だ。