禁煙は、2回目の冠状動脈性心疾患を予防する大きな鍵となる。だが現状は、心疾患発症前に喫煙していた患者のうち、入院後に禁煙を達成していたのは半数のみという成績だった。ヨーロッパで行われたEUROASPIRE III研究で明らかになったもので、ドイツMuenster大のJan Heidrich氏らが9月2日、ポスターセッションで発表した。

 EUROASPIRE IIIでは、冠状動脈性心疾患の患者を対象に、禁煙、習慣変更の準備、喫煙治療などを大規模に調査した。2006年から2007年にかけて、ヨーロッパの22施設の80歳未満の患者について実施された。全体で8966人の患者を対象に、入院後平均15カ月の時点で問診と標準的な検査が行われた。うち8945人については、喫煙習慣と治療については問診により評価し、さらに呼気中の一酸化炭素濃度(CO)を測定することで確定した。禁煙については、入院前の1カ月の喫煙の有無を患者の報告によって評価した。

 調査の結果は、憂うべきものだった。問診の時点で喫煙が確認されたのは、全体で17%だった。ただ、施設間で10%から24%のばらつきを認めた。また、喫煙習慣は女性よりも男性で多く(11%対19%)、高年層よりも若年層に多かった(70歳以上で6%、50歳未満で38%)。

 問題なのは喫煙を続けていた患者が半数もいたこと。心疾患発症後に喫煙を止めていた発症前喫煙者は、半数に留まっていた(男性、女性とも48%。施設間のばらつきは27%から66%)。

 喫煙を続けていた患者のほとんどが、少なくとも口頭で禁煙指導を受けたと報告した。しかし、禁煙のための教育やニコチン置換治療のような、より積極的な支援の指導を受けた患者は少数に留まった。

 喫煙を続けていた患者では、全体の3分の2(施設間のばらつき0%から87%)は発症後に喫煙量を減らし、11%はしばらく禁煙したがまた喫煙を始めたと報告した。喫煙を続ける患者に対して行われた習慣への介入、ニコチン置換治療あるいはブプロピオン治療は、それぞれ5%、12%、2%だった。なお、男性と女性との間あるいは年齢層の間で、習慣の変化、治療に関する明確な差は見られなかった。

 これらの結果から演者らは、「現状の禁煙喚起、喫煙管理は不十分である」と評価し、「特に、積極的な禁煙治療がほとんど行われていない点が問題」と指摘した。