循環器疾患などで低用量アスピリンの継続投与を受けている高齢者では、ピロリ菌感染が十二指腸潰瘍の有意なリスク因子になること、より高用量(>100mg/日)のアスピリン投与は胃、十二指腸潰瘍の発症リスクを高めることが示された。低用量アスピリン投与者に対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)の効果をみたASTERIX試験のサブ解析結果で、ミュンヘンで開催された欧州心臓学会(ESC2008)のモデレート(口頭発表付き)ポスターセッションで、スペインZaragoza大学病院消化器科のAngel Lanas氏らが報告した。

 ASTERIX試験は、10カ国78施設で実施された第3層臨床試験。低用量(75〜325mg/日)アスピリンの経口投与を継続的に受けている60歳以上の患者のうち、試験開始時に胃潰瘍、十二指腸潰瘍がなく、ピロリ菌に感染していない991人をPPI群(493人)とプラセボ投与群(498人)に無作為に割り付け、エソメプラゾール20mgまたは偽薬を1日1回、26週にわたって投与した。本試験の結果は2006年の米国消化器病週間(DDW)で報告され、PPIが胃・十二指腸潰瘍の発症リスクを7割減らしたことが示された。

 今回は、ASTERIX試験におけるアスピリン投与量、Hピロリ感染の有無と潰瘍発生の関連についての解析結果が報告された。

 ASTERIX試験では26週の試験期間中、35人がプライマリエンドポイントである胃潰瘍または十二指腸潰瘍を発症した。

 ピロリ感染の有無で部位別の潰瘍発症率をみたところ、ピロリ陰性(n=728)群では、胃潰瘍の発症率が2.6%、十二指腸潰瘍が0.7%だったのに対し、ピロリ陽性群(n=224)では、胃潰瘍が1.8%、十二指腸潰瘍が2.7%だった。

 この結果、低用量アスピリン服用者におけるピロリ感染は、十二指腸潰瘍については有意なリスク因子となった(オッズ比:4.96、CI:1.39-17.76、p=0.014)が、胃潰瘍では有意なリスク因子とはならなかった(オッズ比:0.87、CI:0.32-2.36、p=0.98)。

 一方、アスピリンの用量と発症率の関係をみたところ、75-100mg/日(n=724)の投与を受けている群では、胃潰瘍が1.8%、十二指腸潰瘍が0.7%だったが、101-325mgとより高用量を服用している群では、胃潰瘍が4.5%、十二指腸潰瘍が1.9%と多かった。この結果、100mg/日を超える群では、100mg/日以下の投与群に対する潰瘍発生のオッズ比は3倍近くになり、100mg/日を超えるアスピリンの連続投与は、消化管潰瘍のリスクを大幅に増加させる可能性が示唆された。