本態性高血圧患者が喫煙をし、かつ、多量のコーヒーを摂取している場合、炎症活性および血栓症/線維索溶解系に有害作用を及ぼすことが分かった。ギリシャHippokration HospitalのKyriakos Dimitriadis氏らの研究によるもので、9月2日、ポスターセッションで発表した。演者らは、「無症状アテローム性動脈硬化の進行に好ましくない影響がある」と警告している。

 喫煙が多様な炎症促進およびアテローム形成(動脈硬化)経路の活性に関係しているのは明らかになっているのに対し、コーヒーを飲むことが心血管系に影響を及ぼすかどうかは未だ論議を呼ぶところ。演者らは、本態性高血圧を持つ喫煙者を対象に、血漿中のインターロイキン6(IL-6)と1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI-1)の濃度に対するコーヒー多量摂取の影響を調べた。

 対象は、新しく診断された未治療の本態性高血圧ステージI-IIの喫煙者の中から、食物頻度アンケートにより年齢、性別、喫煙量が適合した30人のコーヒー多量摂取者(1日当たり4杯以上摂取)と30人の少量摂取者(1日当たり1杯以下または一週間当たり7杯以下の摂取)を選択した。さらに、静脈血を採取し、代謝プロフィールの評価および、IL-6とPAI-1の濃度測定を行った。

 その結果、コーヒーの多量摂取群と少量摂取群を比較すると、外来拡張期血圧、心拍数、体格指数(BMI)および代謝プロフィールに関しては有意差が見られなかった。

 しかし、外来収縮期血圧は多量摂取群で増加していた(154±13mmHg対143±12mmHg、p=0.001)。さらに、多量摂取群は少量摂取群に比べて、IL-6濃度が平均120%高く(2.01±.03pg/mL対0.91±0.2pg/mL、p=0.005)、PAI-1濃度が84%高かった(32±8.2ng/mL対17.4±5.7ng/mL、p=0.001)。

 被験者全体では、IL-6濃度は体格指数(r=0.221、p<0.05)、喫煙量指数(r=0.347、p<0.001)、外来収縮期血圧(r=0.372、p<0.05)、中性脂肪(r=0.253、p<0.005)、および低密度リポタンパクコレステロール(r=0.206、p<0.05)と関連があり、PAI-1濃度は喫煙量指数(r=0.228、p<0.05)、ウエストーヒップ比率(r=0.204、p<0.05)、および外来収縮期血圧(r=0.284、p<0.005)と正の相関があった。

 コーヒー消費の度合いに関しては、外来収縮期血圧(r=0.242、p<0.05)、IL-6濃度(r=0.475、p<0.0001)、PAI-1濃度(r=0.274、p<0.05)と明らかに関連していた。共分散分析により、IL-6濃度とPAI-1濃度は、交絡因子補正後で2つのグループの間に有意な差が見られることがわかった(両方ともp<0.05)。

 結局、高血圧症の喫煙者ではコーヒーの多量摂取は、IL-6とPAI-1の値にみられるように顕著な炎症障害と血栓症/線維索溶解系の調節異常に関係していることが分かった。これらの結果から演者らは、「本研究の条件下ではコーヒーの摂り過ぎが無症状アテローム性動脈硬化の進行に好ましくない影響を与えていることを示している」と結論した。