新東京病院の中村淳氏

 アジア人では、ステント血栓症の発症率は比較的低いことが報告された。アジアの多施設共同登録研究の3年間の追跡調査で明らかになったもので、新東京病院の中村淳氏(写真)が8月31日、アブストラクトセッションで発表した。

 薬剤溶出ステント(DES)では留置後のステント血栓症の発症が問題視されている。中村氏らは、アジア地域でのステント血栓症の状況を把握するため、日本、マレーシア、韓国、インドネシア、タイの各医療施設と共同で登録研究を進めてきた。今回は、アジア人種において薬剤溶出ステント留置およびベアメタルステント(BMS)留置後のステント血栓症の頻度、予測因子、臨床結果を検証した。

 対象は、2002年3月から2004年3月までにアジアの5施設でステント留置を受け成功した1万4577人。内訳は、DES留置患者が8809人(シロリムス溶出ステント=SES=留置62%、パクリタクセル溶出ステント=PES=留置38%)、BMS留置患者5768人。

 平均の追跡期間は、DES留置患者で40.5±14.6カ月、BMS留置患者で44.8±16.4カ月だった。ステント血栓症の積算発症率をみると、亜急性ステント血栓症(SAT)はDESで0.5%、BMSで0.6%で、遅延ステント血栓症(LAST)はDESで0.2%、BMSでは0だった。非常に遅く発症するステント血栓症(VLAST)がDESで0.4%/2年、BMSで0だった。

 ステント血栓症の独立予測因子は分岐病変(オッズ比=1.90、95%信頼区間;1.83-24.24、p=0.01)および駆出分画率(オッズ比=0.90、95%信頼区間;0.86‐0.94、p=0.03)という成績だった。両グループで0.2%の患者がステント血栓症後の心筋梗塞が原因で死亡していた。

 中村氏らは今回の結果から、「平均3年以上の追跡ではアジア人種におけるステント血栓症の発症率は比較的低かった」と評価した。またステント血栓症の独立予測因子として浮かび上がったことから、「分岐病変あるいは低駆出分画率を持つ患者では、特にステント血栓症の合併症に注意を払う必要がある」と結論付けた。