The JIKEI HEART Studyのチェアマンで東京慈恵会医科大学循環器内科教授の望月正武氏

 日本初の高血圧介入大規模臨床試験The JIKEI HEART Study(3081例)の結果が、9月5日のHOT LINEセッションで報告された。報告者は同試験のチェアマンで東京慈恵会医科大学循環器内科教授の望月正武氏とコ・チェアマンでスウェーデンSahlgrenska 大学のBjorn Dahlof氏。

 The JIKEI HEART Studyの対象は、カルシウム拮抗薬やアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬を含む従来治療を受けている虚血性心疾患または心不全を伴う日本人高血圧患者(22-79歳:平均65歳)。約33%に虚血性心疾患、11%に心不全の合併が認められた。試験開始時には67%にCa拮抗薬、35%にACE阻害薬が投与されていた。非アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)群ではこの従来治療が続行され、バルサルタン群ではバルサルタン(平均75咫親)が投与されての比較となった。

The JIKEI HEART Studyのコ・チェアマンでスウェーデンSahlgrenska 大学のBjorn Dahlof氏

 その結果は欧米におけるバルサルタン大規模臨床試験のデータを大きく上回るもので、バルサルタン群(1541例)では非ARB群(従来治療群:1540例)よりもプライマリーエンドポイントが39%、脳卒中(新規および再発)が40%、入院を要する心不全が46%、入院を要する狭心症が65%、各々有意に減少するとのエビデンスが得られた。なお両群間で心筋梗塞に有意差はなかった。なおプライマリーエンドポイントは脳卒中、初発および再発のTIAや急性心筋梗塞、心不全や狭心症の新規発症および増悪、大動脈瘤解離、下肢動脈閉塞、透析への移行、血漿クレアチニン値の2倍化。

 以上の結果は、両群で同等の降圧を達成した上で得られたもので、試験開始時血圧値は139/81mmHg、到達血圧値はARBバルサルタン群131/77mmHg、非ARB群132/78mmHg(降圧目標130/80mmHg)。試験デザインはPROBE法(前向き・無作為化・オープン・エンドポイント非開示)が用いられた。試験は追跡3年を越えた時点で、バルサルタン群の利益が明白であることから、データ安全モニタリング委員会(DSMB)の勧告により早期終了となった。

 The JIKEI HEART Studyは、東京慈恵会医科大学循環器内科と関連病院のスタッフ100人以上が1つのグループとして取り組んだもの。全員が循環器専門医であり、しかも我が国のきめ細かな医療体制下で実施されたことが、欧米よりも良好なデータにつながった可能性がある。The JIKEI HEART Studyによって、欧米人で得られていたバルサルタンのエビデンスが日本人にも当てはまることが証明されたが、欧米人よりも低用量のバルサルタンでのエビデンスとなっており、欧米人と日本人におけるARBの投与量の相違とその背景に関しても議論を呼びそうだ。

 2006年10月15日から福岡国際会議場(福岡市)で開催される第21回国際高血圧学会(ISH2006)では、JIKEI HEART Studyのさらなる結果が発表される予定。