モンツァ病院循環器科のAndrea Mortara氏

 慢性心不全の大規模臨床試験「Val-HeFTホルター心電図サブ解析」(洞調律415例)で、心拍変動とBNP脳性ナトリウム利尿ペプチド)値との間に強い逆相関が認められた。イタリア・モンツァ病院循環器科のAndrea Mortara氏が報告した。

 既にVal-HeFTホルター心電図サブ解析において、心拍変動の指標のひとつである低周波数領域(LF)が低下するほど予後が悪いことが示されていた(70ms square:70ms2未満で特に予後不良)。今回はさらに心拍変動とBNP値との関連を調べたもので、心不全における交感神経と迷走神経のアンバランスがBNP分泌を刺激するかどうかの検討が目的。BNP値は心不全の予後規定因子であることが知られている。

 Val-HeFT(対象は5010例)ではACE阻害薬などの標準的治療にARBバルサルタンを併用することで、併用しない場合よりも総死亡+心血管イベントが有意に減少するとのエビデンスが得られていた。

 Mortara氏によれば、BNP値は心拍変動の時間領域分析であるSDNN(24時間平均NN間隔の標準偏差)、LFともに4分位法(70ms2未満、70-127ms2、127-200ms2、200ms2以上)で各分位を横断する形で有意な相関が認められたが(各々P<0.05、P<0.0001)、平均心拍数ではそうした相関は認められなかった。また多変量回帰分析(NYHA心機能分類、左室駆出率、ノルエピネフリン濃度、β遮断薬治療で補正)の結果、LFの各ms2減少により、BNP値は0.247pg/mL有意に増加した(P=0.0016)。また他の4分位法による解析では、補正後にLF4分位法の各ms2減少により、BNP値は35.65pg/mL有意に増加したという(P=0.0002)。

 以上の結果からMortara氏は、「心不全患者において、交感神経と迷走神経のアンバランスのマーカーである心拍変動とBNP値との間に強い逆相関が認められた」と述べた。同氏は、自律神経の緊張亢進や副交感神経の減弱が左室機能と独立する形で、BNPの有意な分泌に寄与したのではないかとみている。