「心臓内への骨髄前駆細胞移植と心機能改善との因果関係を示すことができた」と語るFischer-Rasokat氏

 非虚血性拡張型心筋症(DCM)に対する骨髄前駆細胞(BMC)移植により、心機能が有意に改善することが確認された。心筋梗塞など心血管イベントや死亡も見られず、安全性にも問題がなかったという。ドイツJ.W.Goethe大病院のUlrich Fischer-Rasokat氏が9月3日のポスターセッションで報告した。

 研究グループは、心筋梗塞発症後の患者の冠動脈に自家骨髄前駆細胞を移植し、心機能が改善したことを、昨年の米国心臓病学会議(AHA)で報告している。今回は、その成果を踏まえ、非虚血性DCMへの応用を検討した「TOPCARE-DCM試験」(Transplantation Of Progenitor Cells And Recovery of Left Ventricular Function in Patients with non ischemic Dilatative CardioMyopathy)の結果を初めて報告した。

 同試験では、冠動脈の左前下行枝(LAD)への選択的なBMC移植によって、左心室のポンプ機能が改善し、収縮力が回復するかどうかを調べた。対象は、非虚血性DCMの患者22人(うち男性が17人、平均年齢54歳)で、罹病期間は8〜272カ月(中央値は73カ月)。骨髄50mLから分離されたBMC約3億1200万個をLADに移植した。

 3カ月後、左室駆動率(LVEF)はベースラインの29.3±11.8%から32.5±11.7%へと有意に増加した(p=0.001)。これはBMC移植が行われた左前下行枝領域における機能低下(hypokinesia)の割合が、63.8±18.7%から56.7 ±23.0%へと有意に減少(P=0.001)したためだという。

 左室の収縮末期容積(ESV)も、ベースラインの160±91mlから149±82mlに減少(p=0.06)したが、拡張末期容積(EDV)には変化がなかった。移植1年後には、血漿ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度がベースラインに比べて大きく改善されていた。また1年間に死亡や心筋梗塞、心臓発作は見られず、安全性も確認された。

 研究グループは、「心臓内への骨髄前駆細胞移植と心機能改善との因果関係を示すことができ、非虚血性拡張型心筋症の患者における骨髄前駆細胞移植の臨床的な有用性を示唆している」としている。