1万5000人の急性冠症候群(ACS)患者を対象とした研究で、ACS患者がβ遮断薬の服用を中断した場合、継続した場合と比べて退院後6カ月間の死亡率と有病率が劇的に悪化することが分かった。9月4日のポスターセッションで成果を報告したポルトガルCoimbra大学病院のPedro F. Monteiro氏らは、「医師は薬剤の有用性を十分に患者に伝え、副作用が発生した時も、独断で中止しないように働きかけるべき」と指摘した。

 研究グループは、患者データベース(ポルトガルACSレジストリ)から、2002年以降にACSで入院した患者1万4848人のデータを後ろ向きに分析した。退院時にβ遮断薬の処方を受けており、6カ月間の追跡データがあった2869人を対象とし、6カ月後もβ遮断薬を継続していた患者2373人(継続群)と、使用していなかった患者496人(中断群)を比較した。

 その結果、ACS患者がβ遮断薬の使用を早期中止すると、長期的な予後は劇的に悪くなる可能性があることが示された。中断群は継続群に比べ、再梗塞、脳卒中、非待機的手術などの有病率が大幅かつ有意に高く(47.5%、21.5%、P<0.001)、死亡率(20.2%、0.4%、P<0.001)も明白に高かった。多変量解析の結果から、6カ月に満たない時点でのβ遮断薬使用中止は、罹病と死亡の独立した予測因子になることが確かめられた。

 なお中断群は継続群に比べ、狭心症の既往がある患者の頻度が高い(32.7%と27.3%、P<0.05)、退院時にアスピリンを処方された患者の割合が少ない、抗血小板薬の2剤併用やスタチン投与の頻度も低い、などの特徴があった。血管形成術の適用頻度(31.2%と38.9%、P<0.05)や、左室機能が維持されている頻度(55.4%と60.8%、P<0.05)にも有意差があった。

 使用中止は、患者がβ遮断薬の重要性を認識していないか、経済的な理由によって起こる。そのため研究グループは、「ACSの治療に当たる医師は、β遮断薬の有効性を患者や家族、かかりつけ医によく伝え、副作用が現れても患者が独断で使用を中止せず、医師に相談するように働きかけるべき」と述べている。

 本発表の原題は「Impact of early discontinuation of beta-blockers after an acute coronary syndrome」。