2型糖尿病患者における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の有病率は男性49%、女性21%と報告されている。今回、OSAを合併した2型糖尿病患者に対する陽圧呼吸療法(PAP)が、長期にわたって血糖コントロールを改善し、費用対効果が高い治療法であることが示された。9月7日から11日にスペイン・バルセロナで開催された欧州呼吸器学会(ERS2013)で、英国King’s College LondonのJulian F. Guest氏らが報告した。

 本研究では、英国の一般診療施設から得られた900万人以上の匿名患者データを登録したThe Health Improvement Networkデータベースから、PAPを行った患者150例(PAP群)と背景がマッチした対照患者150例(対照群)を抽出した。

 対象はいずれも18歳以上で、OSAおよび2型糖尿病と診断され、PAP開始から5年以上の医療記録がある者とした。

 年齢はPAP群53.9歳、対照群53.6歳、男性比率はそれぞれ82%、83%、収縮期血圧(SBP)値/拡張期血圧(DBP)値はそれぞれ137.5/82.0mmHg、140.4/84.3mmHgで、合併症保有率も含め群間に有意差は認められなかった。しかし、肥満/病的肥満の患者比率はPAP群88%、対照群75%、喫煙者の比率はそれぞれ51%、68%と群間に有意差が認められた(いずれもP<0.02)。

 OSA診断からPAP開始までの平均期間は19.6±31.2カ月で、PAP治療の継続率は1年目93%〜5年目89%の範囲内にあり、1晩当たりの平均装着時間は5.8時間だった。

 肥満比率は、PAP群では追跡期間中、変化しなかったが、対照群では上昇した。

 また追跡期間中、両群とも血圧値は低下した。5年目におけるSBP値はPAP群131.0mmHg、対照群135.4mmHg、DBP値は、PAP群78.1mmHg、対照群80.7mmHgで、いずれもPAP群が対照群より有意に低かった(ともにP<0.02)。重回帰分析により、血圧に影響する唯一の有意な因子として、PAP(P<0.05)が同定された。

 5年間の追跡期間における質調整生存年(QALY)は、PAP群2.53、対照群2.26と、PAP群で有意に良好だった(P<0.001)。

 血糖コントロールは追跡開始2年目以降、PAP群で有意に良好となり、5年目のHbA1c値はPAP群8.2%、対照群12.0%(P<0.03)で、PAP群では長期にわたる良好な血糖コントロールが得られた。

 追跡期間中における英国NHS(National Health Service)の医療費は、PAP群で1万8234ポンド、対照群では1万4092ポンドだった。費用対効果解析から、PAP治療によって1QALYを得るための費用は1万5337ポンドと推算された。

 費用対効果のしきい値として、1QALYを得るために許容される医療費を2万ポンドとすると、ブートストラップ解析により、87%の患者ではPAP治療を行った方が行わない場合より費用対効果の点で有利であることが示された。

 これらの結果からGuest氏は、「OSAを合併した2型糖尿病患者に対するPAP治療は、糖尿病の血糖コントロールを改善し、費用対効果も高かった」と結論した。