オランダUniversity of GroningenのHuib Kerstjens氏

 長期管理薬として吸入ステロイド薬(ICS)が投与されている中等症喘息患者に、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)のチオトロピウムソフトミスト定量吸入器(SMI)により追加投与すると、肺機能が有意に改善されることが明らかになった。また、肺機能の改善は長時間作用性β2刺激薬(LABA)のサルメテロールと同程度で、重篤な有害事象も同レベルの頻度であることも報告された。オランダUniversity of GroningenのHuib Kerstjens氏らが、9月7日から11日までスペイン・バルセロナで開催されていた欧州呼吸器学会(ERS2013)で発表した。

 同氏はこれまで、喘息患者におけるチオトロピウムの有効性を複数報告してきた。今回は、ダブルダミー法を用いた二重盲検の無作為化並行群間比較試験でプラセボおよび実薬対照により実施された、2つの第3相試験のデータでプール解析を行い、肺機能の改善効果や有害事象について検討した。

 両試験の主な登録基準は、18〜75歳の男女、非喫煙者あるいは禁煙者(1年以上禁煙しており、10パック・年未満)、40歳以前に喘息と診断、発症後3カ月以上、登録時に中用量(ブデソニド換算400〜800μg)のICS単独療法あるいはICSとLABAの併用療法でコントロール不十分であること。また、気管支拡張薬投与前の%1秒量(%FEV1=FEV1実測値÷FEV1予測値×100)が60%以上90%以下、可逆性がある(短時間作用性β2刺激薬サルブタモール400μg投与後15〜30分にFEV1が12%以上かつ200mL以上の増加)なども条件とされた。

 主な除外基準は、喘息以外の重篤な疾患(呼吸器疾患や心血管疾患を含む)の合併、初回受診時4週間以内およびスクリーニング期間における経口ステロイド薬の使用とされた。

 スクリーニング期間後に登録されたのは計2100例で、4群の内訳は5μg投与群(チオトロピウム5μgをSMIで1日1回+プラセボをHFA-MDIで1日2回)が517例、2.5μg投与群(チオトロピウム2.5μgをSMIで1日1回+プラセボをHFA-MDIで1日2回)が519例、サルメテロール群(プラセボをSMIで1日1回+サルメテロールをHFA-MDIで1日2回)が541例、対照群(プラセボをSMIで1日1回+プラセボをHFA-MDIで1日2回)が523例だった(HFA-MDIは代替フロンガスを基剤とする定量噴霧式吸入器)。

 試験期間中は全例、長期管理薬としてICS(ブデソニド換算400〜800μg)が処方された。LABAの併用は禁止されたが、ロイコトリエン受容体拮抗薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬の併用は認められていた。

 主要評価項目は、24週時のFEV1ピーク値(吸入から3時間後まで)、同FEV1トラフ値などだった。

 ベースラインでの患者背景は、女性比率、年齢、BMI、喫煙歴、喘息発症年齢、喘息罹患期間、ACQ-7スコアなどで、4群間に差は見られなかった。また、スクリーニング時における気管支拡張薬投与前のFEV1や前後の%FEV1といった肺機能、スクリーニング前の3カ月間におけるICSや併用薬の使用状況にも差はなかった。

 24週時におけるFEV1ピーク値の対照群との差は、5μg投与群が185mL(95%信頼区間[CI]:146-223、P<0.0001)、2.5μg投与群が223mL(95%CI:185-262、P<0.0001)、サルメテロール群が196mL(95%CI:158-234、P<0.0001)で、いずれの群も対照群に比べ有意に改善していた。

 同様に、24週時におけるFEV1トラフ値の対照群との差は、5μg投与群が146mL(95%CI:105-188、P<0.0001)、2.5μg群が180mL(95%CI:138-221、P<0.0001)、サルメテロール群が114mL(95%CI:73-155、P<0.0001)で、3群とも有意な改善が認められた。

 24週までの肺機能の推移を見ると、FEV1ピーク値、同トラフ値、夜間のピークフロー(PEF)値はすべての測定時点で、実薬群はいずれも対照群を大きく上回り、実薬の3群はほぼ同様に推移した。

 重篤な有害事象の発現率は、5μg投与群が2.1%、2.5μg投与群が2.3%、サルメテロール群が2.0%で、いずれも対照群の2.7%と同程度だった。そのうち、要入院例は順に1.5%、2.3%、1.8%で、対照群は2.5%と差はなかった。治療との関連が疑われる有害事象の発現率は、5μg群が7.4%、2.5μg群が6.9%、サルメテロール群が5.2%と同程度の頻度であり、対照群の5.4%とも差はなかった。

 以上からKerstjens氏は、「実薬群はいずれも対照群に比べ、FEV1ピーク値とトラフ値を有意に上昇させた。チオトロピウムは、サルメテロールと同等に肺機能などを改善しただけでなく、安全であり、忍容性も良好だった」と総括した。