イタリアUniversity of PisaのPier Luigi Paggiaro氏

 コントロール不良な喘息患者の治療に、ソフトミスト定量吸入器(SMI)による長時間作用性抗コリン薬(LAMA)チオトロピウムの投与を追加すると、中等症から重症の場合、肺機能が改善し、増悪リスクが減少するとの報告が複数ある。では軽症患者に対してはどうか。イタリアUniversity of PisaのPier Luigi Paggiaro氏は研究グループを代表して、軽症患者を対象とした実施されているチオトロピウム第3相試験の試験デザインや患者背景などについて、9月7日から11日までスペイン・バルセロナで開催されていた欧州呼吸器学会(ERS2013)で発表した。

 同試験は、軽症の喘息患者において、長期管理薬(ブデソニド換算200〜400μgの吸入ステロイド薬[ICS])にチオトロピウム(SMIにより1日1回夜間に投与)を追加した際の有効性と安全性を検討する第3相試験。プラセボ対照の無作為化二重盲検による並行群間比較試験として、国際的に行われている。

 主な登録基準は、発症から3カ月以上が経過した18〜75歳の男女で、40歳以前に喘息と診断され、非喫煙者あるいは喫煙歴が10パック・年未満で試験登録前に1年以上禁煙している患者。また、スクリーニング時の検査で、気管支拡張薬による可逆性があり(短時間作用性β2刺激薬のサルブタモール400μg投与から15〜30分後に1秒量[FEV1]が12%以上かつ200mL以上の増加)、気管支拡張薬投与前の%1秒量(=FEV1実測値÷FEV1予測値×100)が60%以上90%以下であること。さらに、スクリーニング開始時と2回目の受診時に、喘息症状のコントロール状態を評価するACQ-7を実施し、そのスコアが1.5以上であることも条件とした。

 また、主な除外基準は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の既往、重篤な併存症の存在、他の抗コリン気管支拡張薬の併用などとした。

 試験期間中、喘息の急性増悪のための治療として、短時間作用性β2刺激薬(SABA)サルブタモールの頓服、経口ステロイド薬や短時間作用性テオフィリン製剤の使用、ICSの増量は認められていた。その一方、長期管理薬としての全身性ステロイド薬、その他の抗コリン薬、長時間作用性β2刺激薬(LABA)の単剤および配合剤、抗IgE抗体薬、クロモン誘導体、メチルキサンチン、ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用は禁止されていた。

 また、FEV1ピーク値の標準偏差を370mLと仮定し、有意水準α=0.05、ベースラインからの変化量の差が120mLで、検出力80%以上を確保するために必要なサンプルサイズは各群150例と算出された。

 実際には686例が登録され、4週間の導入期間(run-in-period)を経て、465例がチオトロピウム5μg群、同2.5μg群、対照群の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。すべての群でSMIを用いて1日1回夜間に投与し、12週間継続した。1例は治療を受けなかったため、最終的に解析対象となったのは、5μg群が155例、2.5μg群が154例、対照群が155例だった。

 ベースラインにおける解析対象の患者背景は、年齢が42.9歳、女性比率が60.6%、非喫煙者が82.3%、喘息の罹病期間が16.2年、ICSの投与量(ブデソニド換算)が381.4μg、気管支拡張薬投与前の%1秒量が73.9%、1秒率(=FEV1÷努力性肺活量×100)が68.5%で、その他の項目を含め、3群間に差はなかった。

 ベースライン時の併用薬は、ICSが100%、経口ステロイド薬が0.6%、鼻用ステロイド薬が24.8%、SABAが27.2%など。また、12週間の治療期間中の併用薬は、ICSが100%、経口ステロイド薬が2.4%、鼻用ステロイド薬が25.4%、SABAが27.2%などだった。

 主要評価項目は、12週時のFEV1ピーク値とされた。副次およびその他の評価項目は、12週時のFEV1トラフ値、12週時のFEV1の曲線下面積(AUC)、試験終了時のACQ-7スコア、朝と試験薬投与前の夜のピークフロー(PEF)、サルブタモールの使用回数、初回増悪までの期間、安全性と忍容性など。

 試験結果は、2014年の米国アレルギー・喘息・免疫学学会(AAAAI 2014)で発表される予定だ。

 今回の試験についてPaggiaro氏は、「軽症喘息例にチオトロピウムをSMIにて投与し、有効性と安全性を検討する初めての臨床試験だ。この結果が明らかになれば、すべての重症度でチオトロピウムが有用であることが示されるかもしれない。さらなる検討テーマはチオトロピウムがLABAに代わる治療薬になり得るかどうかだが、まずは来年のAAAAI2014での発表に期待してほしい」と語った。