フィリピンPhilippine General HospitalのRalph Elvi Villalobos氏

 既存治療では十分にコントロールできていない喘息患者に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)チオトロピウムを追加投与すると、1秒量(FEV1)やピークフロー(PEF)が改善した。これは、フィリピンPhilippine General HospitalのRalph Elvi Villalobos氏らが、5つの無作為化比較試験(RCT)を対象としたメタ解析の結果として報告したもの。9月7日から11日までスペイン・バルセロナで開催されていた欧州呼吸器学会(ERS2013)で発表した。

 GINA(Global Initiative for Asthma)は2011年に発表した『GLOBAL STRATEGY FOR ASTHMA MANAGEMNET AND PREVENTION』で、喘息のコントロール不良を、(1)日中の症状が週2回超、(2)活動の制限がある、(3)夜間の症状・覚醒がある、(4)発作治療薬・レスキュー薬の使用が週2回超、(5)PEFまたはFEV1が予測値あるいは自己最高値の80%未満――という5項目中3項目以上に該当した場合と定義している。

 現在、臨床医の努力にもかかわらず、コントロール不良の喘息患者数を十分に抑制できていないため、新たな喘息治療薬が求められている。同氏らはチオトロピウムがCOPDだけでなく、喘息にも有効であることが複数のRCTで示されていることに着目。チオトロピウムが新たな追加治療薬になり得るかを検討した。

 本検討では、コントロール不良の喘息例に対し、チオトロピウムの上乗せ効果をプラセボまたは実薬と比較しているRCTを対象とした。PubMedやコクラン・ライブラリ、公的機関、製薬会社などを対象に未発表データを含めて探索した結果、4つの論文が対象となった。そのうち1論文では2つのRCTを実施していたため、最終的に解析対象としたのは5つのRCTだった。

 まずプラセボとの比較データで解析したところ、FEV1の改善効果については、チオトロピウム群とプラセボ群のFEV1の差が0.14L(95%信頼区間[CI]:0.09-0.19)で、チオトロピウムによる有意な改善効果が認められた(P<0.00001)。

 朝のPEFの改善度に関しては、チオトロピウム群の方が20.03L/分(95%CI:11.71-28.35)有意に大きかった(P<0.00001)。一方、夜のPEFにおいても、チオトロピウム群で23.13L/分(95%CI:15.18-31.09)有意に改善していた(P<0.00001)。

 発作治療薬の使用回数については、24時間当たりの使用回数で検討した。その結果、チオトロピウム群はプラセボ群に比べ、0.12回(95%CI:−0.17〜0.40)少なかった。また、QOLの改善については、AQLQ(Asthma Quality of Life Questionnaire)スコアで検討した結果、チオトロピウム群はプラセボ群に比べ、0.10(95%CI:−0.05〜0.25)大きかった。

 次に、実薬を対照としたデータでFEV1の改善度を比較したところ、チオトロピウム群の方が0.14L(95%CI:0.09-0.19)有意に大きかった(P<0.00001)。長期管理薬の種類別に見ると、ICS単独群に対しては0.12L(95%CI:0.02-0.22)、ICSとLABAの併用群に対しては0.15L(95%CI:0.09-0.21)、それぞれ有意に改善していた(順にP=0.02、P<0.00001)。

 なお、上記のメタ解析ではすべてRCT間に有意な異質性は認められなかった(いずれもI2=0%)。

 有害事象については、喘息の増悪はチオトロピウム群で有意に少なかった(P<0.0001)。一方、鼻咽頭炎、気管支炎、頭痛、上気道感染症では差がなかった。

 以上の結果を踏まえVillalobos氏は、「チオトロピウムはFEV1やPEFといった肺機能の改善を介して様々な臨床的アウトカムを改善する可能性があり、コントロール不良の喘息患者への考慮すべき追加治療と考えられる。今後は、死亡、入院、挿管、ICUへの入院といった指標で、その有用性を検討する必要がある」と述べた。