茨城東病院リハビリテーション科の伊東光修氏

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に、全身振動運動器(WBV)を使ってスクワット運動を実施したところ、運動能力、および健康状態が改善することが示された。9月7日から11日にバルセロナで開催された欧州呼吸器学会(ERS2013)で、茨城東病院(茨城県那珂群東海村)リハビリテーション科の伊東光修氏らが発表した。

 COPDは息切れや呼吸困難だけでなく、運動能力の低下によって下肢の骨格筋機能障害なども引き起こす。WBVは1970年代初頭、宇宙飛行士が無重力状態で筋力が低下するのを防ぐために旧ソ連で開発された運動機器。足底部の振動板からの振動刺激を受けながら運動することで、筋肉の活動量を増加させる効果が期待できる。近年は、COPD患者の治療機器としても使われるようになっている。

 対象はCOPD男性患者10人(平均年齢74.4歳、%1秒量67.8%)。12週間のリハビリテーションプログラムの中で、無作為にWBV群とコントロール群の2つのグループに分けてスクワット運動を実施した。

 WBV群は週に2回、スクワット運動(3分間×2回)をWBVのプレートに乗って実施した。コントロール群は同様の運動を、WBVを使わずに床の上で実施した。WBVはドイツNovotec Medical社のGalileo G-900を使用した(12〜24Hz)。

 12週間の運動期間中、脱落者はいなかった。6分間に歩くことができる最大距離を測定する6分間歩行テストの結果は、WBV群ではリハビリ開始前の313mからリハビリ後に382mと増加し、コントロール群では450mから481mに増加した。WBV群の増加はコントロール群よりも有意に大きかった(69m対31m、P<0.05)。

 一方、St.George Respiratory Questionnaireを用いて患者の健康状態を評価したところ、WBV群においては「症状」は62.4から42へ、「活動」は58.3から39.9へ、「心理社会的機能」は34.3から33.9へと、いずれも有意に改善した(P<0.05)。これに対し、コントロール群ではいずれも有意な改善は見られなかった。

 伊東氏は、「今回、日本人のCOPD患者において、WBVは運動能力の向上と健康状態の改善に有効であることが示された。強い負荷を伴わずに効果的に筋力を高めることができるので、患者にとっても容易に実行できる。リハビリなどでの活用が有効ではないか」と話した。