英国The University of ManchesterのRayid Abdulqawi氏

 難治性の慢性咳嗽患者に対し、ATP受容体P2X3を阻害するAF-219を投与したところ、プラセボ群と比べ、日中の咳の頻度を75%減少させたことが報告された。プラセボ対照無作為化二重盲検クロスオーバー比較の第2相試験の結果で、9月7日から11日までスペイン・バルセロナで開催されている欧州呼吸器学会(ERS)2013において、英国The University of ManchesterのRayid Abdulqawi氏らが発表した。

 AF-219は経口のP2X3選択的アンタゴニスト。P2X3受容体はATP受容体のサブタイプで、神経細胞の過剰興奮性に関係している。

 Abdulqawi氏らは、P2X3による神経細胞の過剰興奮が慢性咳嗽に対して重要な役割を果たしているとの仮説を立てた。難治性の慢性咳嗽患者にAF-219を投与することで、日中の咳頻度が減少するかどうかを検討するため、単施設における臨床試験を実施した。

 対象は難治性の慢性咳嗽患者24人。AF-219群(12人、600mgを1日2回投与)とプラセボ群(12人)の2群に無作為に割り付け、2週間投与。その後、2週間のウォッシュアウト期間後に、当初のAF-219群にはプラセボを、プラセボ群にはAF-219(600mgを1日2回投与)を2週間投与した。

 咳に関する評価は、咳頻度を24時間測定する機器(VitaloJAK)を使用したほか、咳の重症度に関するvisual analog scale(VAS)、咳の衝動に関するVAS、QOL質問票(CQLQ)などで行った。投与開始時、投与2週間後、ウォッシュアウト後の投与開始時と投与2週間後にそれぞれ評価した。

 主要評価項目は、ベースライン時に対する投与2週間後の日中の咳頻度の変化率とした。

 患者背景は、平均年齢が54.5歳(範囲:24〜70歳)、女性が18人、白人が23人、生涯非喫煙者は66.7%、過去喫煙者は33.3%、過去喫煙者の喫煙量は5.7パック・年、咳の平均期間は11年(範囲3〜25年)。投与を完遂したのは18人だった。

 ITT解析により、主要評価項目の投与2週間後の日中の咳頻度の変化率を比較すると、AF-219群はプラセボ群と比べて75%減少した(95%信頼区間[CI]:−88%〜−50%)。

 同様にper protocol解析を用いて、投与2週間後の日中の咳頻度の変化を比較したところ、AF-219群はプラセボ群と比べて、日中の咳頻度が84%抑制された(95%CI:−94%〜−60%)。

 その他の評価指標である日中の咳に関するVAS、咳の衝動に関するVAS、CQLQスコアのいずれについても、プラセボ群と比べ、AF-219群で有意に改善した(それぞれP=0.003、P=0.035、P=0.018)。

 AF-219投与による有害事象は、全例で味覚障害が発現し、次いで悪心37.5%、口腔咽頭痛20.8%の順だった。

 これらの結果からAbdulqawi氏は、「P2X3受容体は、神経細胞の過剰興奮による咳に対し重要な役割を果たしていることが示唆された。P2X3アンタゴニストは、咳に対する有効な新機序の薬剤である」と語った。今後は、味覚障害などの有害事象と有効性のバランスを考慮した上で、AF-219の至適投与量を検討したい考えだ。