旭川医科大学循環呼吸医療再生フロンティア講座の長内忍氏

 より重症で治療強度が高い喘息患者ほどBMIが有意に高いことが示された。肥満が喘息の重症度に影響を与える要因としては、男性では呼吸機能の違いが推察されたが、女性では治療強度と呼吸機能の間に相関がなく、男女で異なる機序が存在する可能性があるという。喘息患者を対象にした断面調査の結果で、9月7日にスペイン・バルセロナで開幕した欧州呼吸器学会(ERS2013)で、旭川医科大学循環呼吸医療再生フロンティア講座の長内忍氏らが発表した。

 BMIが増加すると、喘息の状態や治療反応性に影響を与えることは既に報告されている。しかし、肥満がどのようにして喘息治療に影響を与えるかについては明らかにされていない。そこで長内氏らは、BMIと喘息の重症度、喘息コントロールとの関係について検討した。

 対象は、2012年7月に同院で治療した喘息患者191人(男性91人、女性101人)。平均年齢は男性62.5歳、女性が57.8歳、身長はそれぞれ164.7cm、152.6cm、体重は65.4kg、53.8kg、BMIは23.9kg/m2、23.1kg/m2、アトピー性喘息は54%、35%だった。

 患者を喘息管理国際指針(GINA)ステップ1または2、ステップ3、ステップ4(ステップ4が最も重症)の3群に分類した上で、その他の因子との関連を検討した。男性患者においてGINAステップ1または2は25%、ステップ3は39%、ステップ4は36%。女性患者においてはそれぞれ37%、29%、34%だった。

 GINAステップ別にBMIを比較したところ、ステップ4の患者のBMIはステップ1または2の患者よりも、男女ともに有意に高かった(ともにP<0.05)。

 男女別にGINAステップごとの呼吸機能を比較したところ、男性ではステップ3、ステップ4の%1秒量(%FEV1)はそれぞれ75.5%、71.3%で、ステップ1または2の89.2%と比べて有意に低かった(P<0.05)。また、ステップ3、ステップ4の最大吸気量(IC)/肺活量(VC)%はそれぞれ65.3%、69.9%で、ステップ1または2の58.6%と比べて有意に高かった(P<0.05)。%肺活量(%VC)については群間で有意差は認められなかった。

 一方、女性では、GINAステップ別の呼吸機能に有意差はなかった。%FEV1は、ステップ1または2が87.3%、ステップ3が93.2%、ステップ4が87.8%、IC/VC%はそれぞれ69.6%、69.1%、71.1%だった。

 多変量回帰分析を用いてGINAステップに影響を与える因子を検討したところ、BMIのみが有意な因子として抽出された(P<0.05)。

 これらの結果から長内氏は、「BMIが喘息重症度とそのコントロールに影響を与えていることが示唆された。肥満が喘息治療強度であるGINAステップに影響する機序としては、男性では肥満によって肺が押し上げられることで気道閉塞が起こり、呼吸機能に影響を与えている可能性が考えられるが、女性ではその他の機序が影響している可能性が示唆される」と語った。さらに、脂肪細胞から産生される炎症惹起物質への感受性が男女で異なることも原因として考えられると指摘した上で、今後はさらに症例数を増やして検討したいと述べた。