フィンランドCenter for Environmental and Respiratory Health Research、University of OuluのAino Rantala氏

 アトピー性皮膚炎や喘息、鼻炎などのアトピー性疾患を有する成人患者は、上気道および下気道の呼吸器感染症にかかりやすいことが、フィンランドCenter for Environmental and Respiratory Health Research、University of OuluのAino Rantala氏らの研究で明らかになった。9月7日にスペイン・バルセロナで開幕した欧州呼吸器学会(ERS2013)で発表された。

 アトピー性疾患と呼吸器感染症との関連については、小児患者での報告が散見されるが、成人患者についての報告は見られない。

 そこで、フィンランドのピルカンマー県に住む1008人の成人(21〜63歳)について、アトピー性疾患の有無、アレルギーテストの結果、過去12カ月間の感染症の既往などを横断的に調べた。呼吸器感染症は、気管支炎や肺炎などの下気道感染症と、風邪や副鼻腔炎、扁桃腺炎、中耳炎などの上気道感染症に分けた。また、空気中アレルゲンに対する血清中の特異的IgE抗体を測定した。

 その結果、過去12カ月間に1回以上、下気道感染症にかかった患者は、アトピー性疾患を有する群(アトピー群441人)で54人(12.2%)、有しない非アトピー群(536人)で31人(5.9%)と有意にアトピー群で高かった(相対危険度[RR]:2.24、95%信頼区間 [CI]:1.43-3.52)。同様に上気道感染症を発症した患者もアトピー群で107人(24.3%)と、非アトピー群(70人、13.3%)よりも有意に高かった(RR:1.55、95%CI:1.14-2.10)。

 次に、アトピー性疾患を喘息、鼻炎、皮膚炎の各群に分けて呼吸器感染症の感染リスクを調べたところ、下気道感染症のRRは、喘息が4.69(95%CI:2.64-8.35)で最も高く、皮膚炎は1.82(95%CI:1.08-3.07)だった。

 一方、特異的IgE抗体が強い(Phadiatopスコアが高い)ほど、下気道感染症のリスクが高い傾向が見られた(傾向性の検定P=0.059)。

 Rantala氏は、「仕事に従事する成人のアトピー性疾患患者においても、アトピー性疾患でない人に比べて上気道および下気道感染症にかかりやすいことが示された。臨床の場面では、アトピー性皮膚炎や喘息などのアトピー性疾患を有する患者については、呼吸器感染症のリスクが高いことに十分留意することが重要だ」と語った。