ドイツPhilipps-Universitat MarburgのClaus Vogelmeier氏

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の国際的なガイドラインであるGOLDは、中等症から最重症のCOPD患者に対し、長期管理薬の第一選択として、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用型β2刺激薬(LABA)を推奨している。LAMAのチオトロピウムはメタ解析で心血管関連イベントのリスクを高める可能性が指摘されている一方で、リスクを増やさないとも報告されている。そこで今回、ドイツPhilipps-Universitat MarburgのClaus Vogelmeier氏らは、チオトロピウムとLABAのサルメテロールの直接比較試験のプール解析を行い、両薬の心血管リスクに違いがないことを、9月7日からスペイン・バルセロナで開催されている欧州呼吸器学会(ERS2013)で報告した。

 今回のプール解析の対象としたのは、COPD患者において、チオトロピウム(ドライパウダー吸入器[DPI]を用いて18μgを1日1回投与)とサルメテロール(定量噴霧式吸入器[MDI]を用いて50μgを1日2回投与)を直接比較した二重盲検、無作為化、並行群間の4つの臨床試験(これらにはベーリンガー・インゲルハイム社、ファイザー社がサポートした臨床試験が含まれている)。

 これらの試験の対象は、40歳以上、1秒率(=1秒量[FEV1]÷努力性肺活量×100)が70%以下かつ%1秒量(=FEV1実測値÷FEV1予測値×100)が60%(あるいは70%)で臨床的にCOPDと診断され、10パック・年超の喫煙歴を有する患者。4つの試験を合わせると、解析対象は8836例(チオトロピウム群が4437例、サルメテロール群が4399例)となった。ベースラインにおける患者背景は、年齢が63歳、女性比率が26%、心疾患の保有率が25.3%、循環器系治療薬の使用率が53.7%だった。

 有害事象報告を基に比較した結果、100患者・年当たりの致死的な全有害事象はチオトロピウム群が1.74例、サルメテロール群が2.08例で、リスク比は0.84(95%信頼区間[CI]:0.61-1.16)と、有意な群間差は認められなかった。また、100患者・年当たりの致死的な主要心血管有害事象(原因不明の死亡を含む)はそれぞれ0.72例、0.92例で、リスク比は0.78(同:0.47-1.28)と、有意な差は認められなかった。

 さらに、100患者・年当たりの重篤な全心イベントは、チオトロピウム群が2.65例、サルメテロール群が2.57例で、リスク比は1.03(95%CI:0.78-1.36)だった。これを項目別に見ると、不整脈はそれぞれ0.54例、0.63例でリスク比が0.85(同:0.47-1.53)、心筋梗塞は0.67例、0.50例でリスク比が1.33(同:0.74-2.41)、他の虚血性心疾患は0.74例、0.63例でリスク比が1.18(同:0.68-2.02)、脳卒中は0.38例、0.42例でリスク比が0.91(同:0.45-1.85)と、いずれの項目においても有意差はなかった。

 以上の結果を踏まえてVogelmeier氏は、「今回の4試験のプール解析の結果から、COPD患者において、チオトロピウム(DPIで18μgを1日1回投与)とサルメテロール(MDIで50μgを1日2回投与)の心血管関連の安全性プロファイルに相違はなかった」と結論した。