デンマークRigshospitaletのAllan Vaag氏

 新しいインスリン配合製剤であるインスリン デグルデク/インスリン アスパルト(以下、IDegAsp)の朝夕食前2回投与は、人種を問わず重大な低血糖をほとんど起こさずに空腹時血糖値を良好に低下させることが分かった。デンマークRigshospitaletのAllan Vaag氏らが、9月23〜27日にバルセロナで開催された欧州糖尿病学会(EASD2013)で発表した。

 IDegAspは、持効型溶解インスリンアナログ製剤のインスリン デグルデク(以下、デグルデク)と超速効型インスリンアナログ製剤のインスリン アスパルト(以下、アスパルト)が7対3で配合された溶解インスリンアナログ製剤。基礎インスリンと追加インスリンを1本の注入器で補うことができる。

 IDegAspでは24時間安定的に持続する基礎インスリン作用が認められている。アスパルトをプロタミンで結晶化させたインスリンとアスパルトを7対3の割合で含有した二相性インスリン製剤(以下、BIAsp 30)との比較では、空腹時血糖値の低下や低血糖エピソードの減少が報告されている。

 今回Vaag氏らは、欧米を中心に実施した試験とアジアで実施した試験について、メタ解析を実施した。対象とした試験は、IDegAspの第3相試験の中から10カ国(オーストラリア、デンマーク、フィンランド、インド、マレーシア、ポーランド、スウェーデン、台湾、タイ、トルコ)50施設が参加したグローバル試験と、アジアの5カ国(香港、日本、マレーシア、韓国、台湾)45施設が参加したアジア地域試験の2つ。

 2つの試験はどちらも無作為割り付け、非盲検、並行群間比較試験(試験期間26週)。インスリン治療を3カ月以上継続してもHbA1c 7.0〜10.0%と血糖コントロールが不良な成人の2型糖尿病患者を対象とし、インスリン治療は空腹時血糖値が目標値となるようあらかじめ定められたアルゴリズムで投与量を調節するtreat-to-target法で行われた。

 グローバル試験(IDegAsp群:224例、BIAsp群:222例)およびアジア地域試験(IDegAsp群:282例、BIAsp群:142例)それぞれにおいて、ベースラインの患者背景は同等だったが、平均体重(グローバル試験:78.9〜81.5kg、アジア地域試験:66.0〜66.1kg、以下同様)、BMI(29.0〜29.6kg/m2、25.4kg/m2)、空腹時血糖平均値(8.6〜8.9mmol/L、7.9mmol/L)、糖尿病罹病期間(12.8〜13.1年、16.3年)は、それぞれ2試験間で差を認めた。

 両試験をあわせてIDegAsp群(504例)とBIAsp群(364例)におけるHbA1cの推移を比較したところ、ベースラインの8.3〜8.4%からIDegAsp群とBIAsp群ともに26週時には約7.0%に低下、両群に差はなかった。一方、26週時の空腹時血糖はIDegAsp群がBIAsp群に比べ−1.12 mmol/L(95%信頼区間[CI]:−1.38〜−0.85、P<0.0001)となり、IDegAsp群が有意に低値となった。

 26週時のインスリン投与量はIDegAsp群0.9 U/kg、BIAsp群1.1 U/kgで、推算平均投与量比0.84(95%CI:0.80−0.89、P<0.0001)となり、IDegAsp群が有意に少なかった。

 低血糖については、患者が他者の介助を要した低血糖症状を重大な低血糖、他者の介助なしに回復できても空腹時血糖が3.1mmol/L(56mg/dL)未満であれば低血糖とし、午前0時01分から午前5時59分の間に起きた低血糖を夜間低血糖と定義した。

 全ての低血糖について、患者当たりの累積発現件数はIDegAsp群の方が19%少なかった(推算レート比[ERR]:0.81、95%CI:0.67−0.98、P<0.05)。同様に夜間低血糖もIDegAsp群の方が57%少なかった(ERR:0.43、95%CI:0.31−0.59、P<0.0001)。全ての重体な低血糖もIDegAsp群の方が39%少なかったが(ERR:0.61、95%CI:0.26−1.45)、件数が29例と少なく有意差は認めなかった。

 空腹時血糖値とインスリン投与量が安定する16週以降の維持期間に限定した検討では、IDegAsp群でさらに低くなった(全ての低血糖:ERR:0.69、95%CI:0.55−0.87、P<0.05、夜間低血糖:0.38、95%CI:0.25−0.58、P<0.0001、全ての重大な低血糖:0.16、95%CI:0.04−0.59、P<0.05)。

 有害事象は両群の発現に差はなく、主要心血管イベント(MACE)はIDegAsp群で計4例、BIAsp30群で計7例に認められた。

 Vaag氏は以上の結果について、「今回のメタ解析でも、IDegAspが空腹時血糖値の改善や低血糖の発現率の軽減に、より期待できることが示唆された。特に維持期間において、低血糖の発現リスクが少ないことが注目される」と総括した。